単なる感情的な反発を超えた、社会のあり方をめぐる視点の違い

新しい政治の形を提示しようとする「チームみらい」という存在は、閉塞感の漂う現代日本において、一筋の鋭い光のように現れた。デジタル技術を自在に操り、複雑な社会問題をデータと論理で解き明かそうとする安野貴博氏の姿は、多くの現役世代に「ようやく自分たちの言葉を話すリーダーが出てきた」という期待を抱かせた。

チームみらいの安野貴博党首
チームみらいの安野貴博党首

しかし、その政策が具体的になるにつれて、SNSからは静かな、しかし根深い違和感が寄せられた。なぜ、彼らの合理的で洗練されているはずの提案が、一部の人々に受け入れがたいものとして映るのか。

そこには単なる感情的な反発を超えた、社会のあり方をめぐる深い視点の違いが存在する。チームみらいが掲げる「新しい統治」の姿を、あえてその反対側に立つ人々の目線から、丁寧に読み解いてみたい。

チームみらいが掲げる政策の中で、多くの議論を呼んでいるのが、消費税の減税を避け、社会保険料の引き下げを優先するという方針である。安野氏は「現役世代の負担を減らすには、消費税よりも社会保険料の軽減が効果的だ」と繰り返し述べている。働く世代の手取りを増やすという目的そのものは、多くの人が賛成する方向だろう。

しかし、問題はその「選び方」にある。本来、税金も社会保険料も、国民から強制的に集めるお金であることに変わりはない。どちらも下げることで、国民が自由に使えるお金を最大化するのが自由主義的な理想だ。

しかし、チームみらいはあえて「消費税は下げない」という主張をした。ここに、「政府によるコントロール」を肯定する姿勢が見て取れる。

社会保障の「選択的な調整」の危うさ

広範な減税と、対象を絞った社会保障調整を比較した先行研究によれば、経済成長に対してより中立的かつポジティブに寄与するのは、消費税や所得税のような広範な減税なのである。

一方で、対象を限定した調整は、行政の複雑化を招き、結果として非効率を生むことが指摘されている。

これに関連して、Asimakopoulos and Karavias(2016)による広範な研究結果は示唆に富んでいる。

彼らは139カ国(1960–2010年)の膨大なパネルデータを用い、「閾値(しきい値)回帰分析」という手法で政府の規模と経済成長の関係を調査した。その結果、政府支出(社会保障支出を含む)の規模がGDP比で約18%前後という明確な境界線を超えると、経済成長に対して統計的に有意な「負の影響」を与え始めることを発見したのである。

特に、彼らが結論づけているのは、社会保障の「選択的な調整」の危うさだ。政府が特定の層や制度を狙い撃ちして手を入れることは、その運用・監視・調整のための管理コストを雪だるま式に増大させる。

これは「賢い管理」を目指したはずが、結果として肥大化した官僚機構と非効率を助長するという皮肉な結末を招くリスクを示している。

消費税の減税は、買い物をした人全員に、政府の個別の判断を介さず平等に恩恵が届く。対して、チームみらいのやり方は、政府が「どの負担を減らすのが正解か」という主導権を握り続けようとする姿勢に映る。これが、一部の人々に「国家による管理の強まり」を感じさせる原因となっているのだ。