国策によって火葬率が飛躍的に伸びた韓国
日本では火葬の間、待機していた遺族が、焼却が終わると火葬炉の前のホールに集まって、職員に骨の状態などについて説明を受け、箸渡しをして骨壺に納めて持ち帰る。だが米国はもっとシンプルで、火葬炉で焼かれた遺骨はすぐに施設内の粉骨室でパウダー状にされ、ビニール袋に包まれて依頼元の葬祭ホールに送られる。そこで骨壺に入れられて遺族に渡されるというシステムなので、火葬用の段ボール棺が火葬炉に納められた時点で参列者と故人はお別れだ。
火葬傾向は米国以外のキリスト教圏にも及んでおり、イギリス火葬協会の2021年の発表データによれば、デンマークの85.7%を筆頭に、チェコ(84.6%)、スロベニア(84.5%)、スウェーデン(84.3%)、スイス(80.3%)と続き、イギリスが79.8%、カナダが74.8%、ドイツが73%と軒並み高い火葬率である。
保守的なカトリック教徒が多く、1960年代の第2バチカン公会議によって火葬が許可されてからも土葬が主流だったフランスでも、火葬が増えて39%となった。原因は、まず宗教離れが進んでいること。
1990年に人口の8割を占めていたカトリック教徒は、5割前後まで減ったといわれており、そのうち日常的に教会に通うのは1割程度だという。次に格差拡大による二極化の進展。安定した雇用を得られない層が拡大して収入が減り、二つの仕事をかけもちする人も増えた。それだけに葬儀にカネをかける余裕がない。
一方、国策によって火葬率が飛躍的に伸びたのが韓国だ。国民の約3割がキリスト教、約2割が仏教を信仰し、約5割が無宗教といわれる韓国では、祖先を敬い年長者を重んじる儒教精神が浸透していることから、「遺体を焼く」という行為に対する忌避感が強かった。
火葬は「孝」に反するという考えである。そのため1990年代までは土葬が一般的で、1991年の時点で火葬率は約18%。しかし土葬用墓地の減少で墓地価格が高騰し、韓国政府は2000年に火葬奨励策を採択する。以降、急速に火葬が増えていった。
そこには儒教的価値観の後退や、死亡の場所が自宅から病院となり、火葬場に隣接している病院も登場するなど火葬環境が整ったこともあげられる。火葬率は2005年に50%を超え、2021年には90%に達している。













