吃音対策から生まれた、森岡のマシンガントーク
吃音の克服法を、森岡はなんと子供の頃に自分で編み出し、試行錯誤をしながら言葉の問題を乗り越えていく。
森岡の場合、すべての音が出にくいのではなく、特定の言葉に引っかかった。そこで「出にくい言葉をあらかじめ回避できる脳の使い方を覚えた」という。
さらに「吃音が出にくいように話に集中する方法」も身につける。ただ、それを実践すると短い間に言葉を詰め込む、普通の人よりも何倍も早い話し方になった。
「大切なのは、自分の脳をスタックさせないことです。そのため独特の喋り方になりました」
森岡のマシンガントークは、もともと吃音対策から生まれたものだったのだ。
「人に何かを伝えたいという欲が吃音に勝った時に、喋るという行為が優勢になったのです」
困難を前にしても、工夫を重ねて克服するマーケター森岡の諦めない姿勢の原点がここにあった。話すことが苦手だった代わりというわけではないが、小学校に通う前から数字には強かった。
おじからもらった数学パズルの本に夢中になり、前を走っているクルマのナンバープレートを使った数遊びもよくやった。4つの数字を四則演算することで、100や150など自分で決めた数を導き出すゲームである。
「0から9までの10個の数字で世界を表現できるアラビア数字を、シンプルに美しいと感じていました。私は数字にすっかり魅了され、どんな言葉よりも馴染みました」
数学的思考が、その後、森岡をして日本を代表するマーケターに押し上げる原動力となったことは、説明するまでもないだろう。「数学は世の中の因果関係や人の行動の本質を見極めるのに欠かせません」と、世界の構造を解き明かすための重要なツールとして活用している。
文/奥井 真紀子













