自民の反発強い自動削除条項「とても採決に持ち込めない」

自民党は中選挙区制と小選挙区制が党内アンケートで半々だったという。立憲民主党は小選挙区制を志向し、国民民主党は定数3程度の中選挙区連記制、公明党は都道府県別の比例制や小選挙区比例併用制を提案している。

つまり、各党が自分たちの政党に有利な選挙制度をテーブルに乗せようとしているので、とても春までに結論が出せる状況ではない。

維新は1年以内に決まらなければ、「小選挙区25、比例20を削除する」という自動削除条項を入れて、各党協議会の結論を待たずに1年以内の決着をもくろむ。

ただ、この自動削除条項には自民党内にも反対が多く、とても採決に持ち込める状況にはならないだろう。

そうなると、維新は副首都法案など他の項目をあきらめて連立離脱を選択するのか、春以降に決断を迫られることになる。党創設者の松井一郎氏は「約束守ってもらえないなら連立離脱するべきだ」と維新の幹部たちに伝えているといわれる。

吉村氏も「センターピン」と言い切った以上、実現を迫り続けるが、もともと高市氏と連立交渉の過程で最後の方に入った約束だ。わずか1週間程度のスピード結婚だったため、高市氏も自民党に持ち帰って細部を詰めたわけではない。

最大の焦点は、6月の国会会期末の衆院解散

自民内には「なんで大阪府知事が国会議員の定数削減を求めてんだ。関係ないじゃないか」と不満がたまっている。

維新の吉村代表
維新の吉村代表

予算が成立した4月以降には、6月会期末にかけて、連立政権内も議員定数削減を巡ってもめていく可能性が高い。

今年前半の政局展望の最大の焦点は、6月の国会会期末に高市総理が衆院解散に打って出るかどうかだろう。

昨年10月に連立相手を公明党から維新に乗り換えて発足した高市政権は新たな連立の枠組みについて、国民の審判を受けてはいない。その意味では衆院を解散する大義は成り立つ。

6月の会期末には立憲民主党が内閣不信任案を出してくることも想定されるので、高市総理の勝ち気な性格を考えたら、対抗手段として解散総選挙に打って出る可能性はある。もちろん、そのときまで政権の高支持率を維持できているかどうかなど不安定要素があることは言うまでもない。

通常国会は150日間と長いため、高市総理自身は頑張っても、閣僚や党側から失言やスキャンダルが出てくる可能性もある。

2026年に解散が行われる可能性は?

そうしたときに、局面打開のために解散に打って出て権力基盤を強固にして憲政史上最長と言われる長期政権を実現させたのが安倍政権だ。

高市氏は安倍晋三さんを師と仰ぎ、安倍さんが重用した官邸スタッフを次々と高市官邸に招き入れている。その中でも安倍政権で7年半も政務秘書官を務めた今井尚哉氏は内閣官房参与として、高市氏から助言を日夜求められている立場だ。

その今井氏は「安倍政権では常に衆院解散のタイミングを探っていた。選挙に勝つことで政権基盤が強固になり、内政でも外交でも政策実現への力が増していくのだ」と語っていたことがある。

ただ、肝心の高市氏自身は選挙や政局よりも政策への興味や関心の方がはるかに強い。お目付け役の麻生副総裁も「解散は再来年以降でもいいんじゃねーか」と周囲に語っている。

高市氏の自民党総裁任期は2027年9月。衆院議員の任期は2028年10月。高市氏が解散を決断しなければ、2026年には選挙が行われない可能性もある。多くの永田町関係者の見立てを総合的にみると、2026年に解散する可能性は50%程度といったところか。

ただ、物価高が続く国内経済にしても、沖縄近海で空母の艦載機訓練をする近隣の軍事大国にしても、課題や懸念が山積しているのが事実だ。どこかのタイミングで政権基盤を固めるための解散総選挙に打って出る決断をする可能性もある。

2026年の政局展望は国民民主党、維新との関係に加えて物価高対応、そして対米国、対中国外交という内外の諸課題と重なる形で、高市総理が総理大臣の唯一無二の権力である「伝家の宝刀」をいつ抜くのか、そこに注目が集まることは間違いない。

文/長島重治