日本の素顔を伝えるには
一方、日本の方が北朝鮮の方を好意的に見てくれているのは、脱北者の方たちの日本を楽しむ様子を見て、彼らの内面を知ってくれたからこそだと思います。
ただ、私のYouTubeチャンネルに出ていただいている方たちのように、日本に来る意思や機会がある脱北者というのはごく僅かに思います。ほとんどの脱北者は、これまで受けてきた反日教育に反して、「日本に行ってみよう、日本文化を試してみよう」と思う人は少ないのではないでしょうか。
私が知り合った脱北者の方々は、私を通して日本という国や文化に興味を持ってくれて、さらに日本に行ってみたいとまで思ってくれた方たちなので、日本の視聴者の方たちも快く、前向きに受け入れてくれた気がします。
また彼らは、韓国の社会で生きていても、なかなか心を開いて信頼できる人と出会えなかったり、そもそも韓国人と親しくなったりする機会すらあまりないそうです。そんな中、アンニさんやソアさんにとって、ここまで距離が縮まり仲良くなった韓国人は私が初めてといいます。
ジョンヒョクさんの場合、彼は格闘家で、周りに韓国人の格闘家仲間がたくさんいるため、脱北者にしては韓国人の友人が多いほうだと思いますが、それはごく稀なケース。一般的には、韓国人と会える機会も、韓国人と友達レベルで仲良くなるというのもあまりないことだといいます。
そもそも脱北者の方たちが自分から心を開くこと自体あまりないそうで、これまでの人生で傷ついた経験が多かったためか、ある脱北者の方は、「もし、心を開いて、自分が経験したことや感じたことを伝えたとしても、相手が変わらずにいてくれるのかはわからない。それが心配でなかなか心を開くことができない」と言っていました。
韓国に住みながら、少しでも韓国に対して不満を言うと、「だったら北朝鮮に帰れ」と言われるかもしれないと思い、小さな不満すら言うこともできずにいたそうです。
しかし私は、もし脱北者の方が「韓国に対してこういう不満があるんです」と言ってきたら、韓国を客観的に見ているからこそ、そうした不満も理解できると思いますし、同じような目線で話を聞くことができます。そのことが、アンニさんも、アンニさんのオモニも「共感してもらえた」と嬉しく感じたようなのです。
彼らの言葉に耳を傾けず、「だったら北朝鮮に帰れ」なんて言ったら、彼らも傷つきますし、心を開こうとはしないでしょう。それでは相手を理解することもできません。私は、物事を客観的に見ようとしているだけではありますが、それが彼らの気持ちを理解することにつながり、ここまで心を開いて仲良くなれたのだとすれば、とてもよかったと思っています。
これは脱北者の方たちだけに限らず、韓国人の友人と旅をするときにも心がけていることですが、「一緒に旅行をする方たちが楽しめる旅にすること」を一番に考えてプランニングしています。
例えばレストランを選ぶときには、値段よりも彼らが好きそうなお店を選ぶようにしているのです。もちろん高級なお店にも連れて行きますが、そればかりではなく、高級店とは対照的な庶民的なお店にも連れて行って、「そのどちらに行っても、親切で丁寧な接客を受けられたり、美味しい料理を味わえたりすることが日本のいいところ」ということを知ってほしいと思っています。
彼らにいろいろなことを経験してもらいたい。それが、私が日本を旅する目的かもしれません。
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文/ジュジュワールド 写真/Shutterstock













