YOASOBIが「韓国の音楽TV番組に出演」の衝撃
韓国における日本の音楽の人気にも触れておこう。留学中、特に印象に残ったのは、日本の大人気ユニットYOASOBIのテレビ番組「M COUNTDOWN」(韓国Mnet/通称エムカ)への出演だった。
僕が驚いたのは、日本語でヒット曲「アイドル」を披露したことである。韓国の音楽番組において、日本のアーティストが日本語で曲を披露するのは珍しい。
逆のパターン、つまり韓国のアーティストが韓国語の曲を日本の音楽番組で披露することには違和感がない人も多いだろう。
たとえば、韓国のガールズグループ、NewJeansは日本の夏フェスでのパフォーマンスが話題を呼んだが、すべて韓国語の曲だった。2023年の紅白歌合戦でも韓国語の曲を披露した。それに目くじらを立てる人はいない。それほどまでに、日本では韓国語の曲がポピュラーになり、定着している。
しかし、お隣の韓国で、日本語の曲が音楽番組で披露されるとなると、話は違う。なぜなら、1998年に日本文化が解禁されるまで、日本語の曲は放送することさえできなかったのである。海賊版はよく出回っており、日本の歌謡曲が広く聴かれていたという実態はあるにしても、放送のハードルは高かったのだ。
近年、韓国における日本のポピュラー音楽受容は大きく変化しているようだ。韓国に住んでみると、街中で日本語の曲に出会う。韓国ではカラオケ店などの店先にスピーカーが置いてあり、音楽が大音量で流されている。
その中で、日本の曲が流れていることが多いのだ。僕は、YOASOBIの「アイドル」も、韓国の街なかで初めて聴いた。