四面楚歌の維新はそのまま時間切れに

四面楚歌の維新は、そのまま時間切れになり、会期末を迎えた。国会閉会を前にした16日の高市総理と吉村代表の党首会談では衆院解散はおろか会期延長の話も出ず、ただ来年国会での成立を再び目指していくことを確認しただけだった。

しこりは残ったまま… (写真/共同通信社)
しこりは残ったまま… (写真/共同通信社)

気がつけば、この2カ月、維新は自民に振り回された。自民(196)と維新(34)を足しても衆院過半数233に3議席足りない状態で「連立政権」はスタート。

しかし、国会中に自民は維新を離党して除名処分を受けていた3人の無所属議員の取り込みに成功。233の過半数を達成した。この3人の自民会派入りは維新側には直前まで伝えられていなかった。

さらに、物価高対策の補正予算では公明が熱望した現金給付を子どもを対象に1人2万円で復活させた。国民民主が求めていたガソリン減税の法案を通し、年収の壁でも前向きな協議をみせることで、補正予算案では公明と国民民主の賛成を取り付けた。

つまり、維新がいなくても別によかった

結果として、自民は維新の賛成がなくても、自民、国民民主、公明の3党で予算の成立が可能な衆参の過半数を確保した。

経済対策や防衛費拡大などで自民との協議を求めた維新だったが、自民側からは「維新は与党慣れしていない。振る舞いが野党のままだ」などと、子ども扱いするような言動が漏れてくるようになった。

実際に、維新が定数削減同様に最重要視した社会保障改革でも維新の後退が目立った。ドラッグストアなどでも購入可能なOTC類似薬について、維新は保険適用からの除外を求めた。適用除外によって1兆円ほどの社会保障費削減が可能だというそろばんをはじいていたという。

だが、医師会などの反発を受け止めた自民党が事前に厚生労働省に根回しをして、保険適用からの除外という維新の要望は断念させられた。

引き続き保険適用を維持して、特別料金などで湿布薬などに患者負担増を受け入れさせるが、「とてもこれでは1兆円の削減にはつながらないだろう。維新は厚労行政が分かっていない」と厚労大臣経験者の自民議員は余裕を見せる。