部下に「使えない」と言ってしまったら、アウトでしょうか?

お嬢様 私のセレブ社長のお友達が、この前、部下に「使えない」と言ったらパワハラで訴えられたらしいわ。あなたなら勝てるわよね。

松井弁護士 どうだろうね。その2人が置かれた状況とかによるからな。

お嬢様 「使えないわね」

松井弁護士 おっと、お嬢様、さすがのブラックジョークでヒヤッとしたよ。

「パワーハラスメント」とは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害する行為をいうんだ。その中には「精神的攻撃」という類型があり、「使えない」という言葉が、この精神的攻撃にあたる可能性はある。

画像はイメージです(写真/Shutterstock)
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部下が一所懸命に仕事をしているのに、嫌がらせのように「使えない」と言ったり、繰り返し言ったりしたら、パワハラにあたるという判断がされると思う。どうしても仕事の上で、「使えない」と思ってしまったとしても、それは内心に留めて、適切なアドバイスをして仕事がしやすい環境を作る努力が求められる時代になっている。

ほかにも精神的攻撃にあたる可能性の高い言葉には、たとえば次のようなものがある。

・解雇をにおわせる
「お前はクビだ」「もう来なくていい」など

・暴力をほのめかす
「死ね」「次ミスしたら殺すぞ」など

・相手を侮辱する
「給料泥棒」「やる気出せよ」など

・容姿や国籍・出自に関する差別的な言葉
「ハゲ、チビ、デブ、ブス」「外人」など

・自由や権利を奪うような言葉
「有給の取得は認めないぞ」など

まとめ 「使えない」と言うのはハラスメントにあたる可能性がある

要点1 「パワーハラスメント」の「精神的攻撃」にあたる可能性がある
要点2 特に繰り返し言ったり、真面目に働いている部下に言ったりすると、ハラスメントにあたる可能性が高まる
要点3 「使えない」は思うだけにして、アドバイスや環境整備に努めよう