Supremeで出会った超ホワイトな働き方
2016年の秋、私はストリートブランド「Supreme」でテクニカルデザイナーとして働き始めました。Supremeには現在も在籍していますが、結論からいえば、ようやくたどり着いたもっとも働きやすい場所かもしれません。このときすでにニューヨークに来て13年が経っていました。
Supremeに移る直前、私はダイアン・フォン・ファステンバーグという女性服ブランドに在籍していたのですが、当時すでにSupremeで働いていた知人から声をかけてもらったのがはじまりです。
トレンドの変化が激しいファッション業界において、「ストリートカジュアルの王様」として不動の地位を確立するSupremeの人気とマーケティング、さらにそこで働いている人たちに興味があり、メンズファッション業界に飛び込みました。
Supremeでは、こうした知人からの紹介で採用されることが珍しくありません。人が人を呼ぶ、いわばファミリービジネス的な雰囲気もあるように感じます。
米国では、2〜4年の頻度で転職するのがわりと当たり前です。同じ会社にいると昇給のペースは、年間3〜5%が相場といわれていますが、転職をすると15〜20%もアップします。そのため特に若い人は、キャリアアップと年収アップを図るために頻繁に転職をします。
同僚や上司も頻繁に転職をするので、先に転職をした人から「今の職場、空いているけど君も来ない?」と誘われることがよくあります。
私の場合、これまでのキャリアは、ほとんどが知人からの紹介でつながってきました。すでに述べたように、ダナ・キャラン・ニューヨークでは解雇の憂き目に遭いましたが、それでも「仕事がない!どうしよう!」とパニックに陥ったことはありません。ひとつの仕事がまた次の仕事につながり、さらに広がっていく――そんな「ご縁」は本当にありがたいなぁとつくづく思います。
Supremeへの転職にあたっては、これまでの経験が大いに活きました。
ダナ・キャラン・ニューヨークで解雇された直後、オリジナルのメンズシャツブランドを立ち上げ、運営をしていたのですが、このメンズウェアに関する実践的な知識と経験が、メンズウェアを扱うSupremeでの採用に評価されたのだと思います。すでにお話ししたように、このメンズシャツブランドは資金繰りがうまくいかず撤退しましたが、苦い経験があったからこそ採用につながった、まさにピンチはチャンス、〝災い転じて福となす〟です。
Supremeでは、働き方にも大きな変化がありました。それまで在籍していたブランドでは、定時で帰れることはほぼなく、ファッションショー前は徹夜も当たり前でした。残業代もありません。ところがSupremeでは、ほとんどのスタッフが定時に帰ります。週末出勤も基本的にありません。
なぜ、Supremeはこれほどまでに「ホワイト」なのでしょうか。













