争族を起こさないためにできること
最善の備えは、遺言書を残すことです。子どものほうから「遺言書を書いて」とはなかなか言いにくいものですが、遺言書がないばかりに子どもたちが揉めるケースが大半であるのも事実です。資産1億円以上の人が〝争族〟になる率が低いのは、資産家ほど遺言書を残しているという点もあると思います。遺言書は何度でも書き換えられますから、備えて早すぎるということはありません。親子であらかじめ対策をしておくことが、〝争族〟の回避につながります。
資産に関することは、親子であってもざっくばらんに話しにくいものです。円滑に話を進めるには、親御さんのことばかり聞くのではなく、お子さんの資産状況も正直に親に伝えるように心がけましょう。
「親父やおふくろよりも自分が先に逝くかもしれない。自分にもしものことがあった場合、妻や子どもたちが困らないようにしたい。どうしたらいいかな?」などと相談してみるのも一案でしょう。長寿化は、裏を返せば親より子どものほうが先に亡くなる可能性もはらみますから、現実的な相談とも言えます。
「自分は今58歳で、2年後に退職金が1500万円くらい入ると思う。その中から家のローンの完済に500万円使うつもりなので、預貯金と合わせて手元に1000万円ほど残る」などと正直に明かしたうえで、「親父かおふくろが将来介護施設に入居せざるを得なくなった場合、援助できなくはないが、自分の家計から持ち出せるのは月に7万円まで」と伝える備え方もあります。
そうやって慎重に、かつ具体的に話を進めていきながら、家財整理や相続といったデリケートな話題についても親子で早めに話し合う機会を見つけていきましょう。
文/吉田肇













