別居中だったオノ・ヨーコも見に来たジョン・レノン生涯最後のライヴ

やがて周りの声に説得されたジョンが、この曲をシングルでリリースすることになった。そして発売から1ヶ月が過ぎた11月16日、ビルボード・チャートで『真夜中を突っ走れ』が1位を記録したのである。

ジョンに「約束、覚えてる?」という電話がかかってきた。もちろん、その声はエルトンだった。

エルトン・ジョン。写真は2011年ごろのもの(写真/Shutterstock)
エルトン・ジョン。写真は2011年ごろのもの(写真/Shutterstock)

11月28日、マジソン・スクエア・ガーデンで開かれていたライヴの後半、エルトンの紹介でジョン・レノンが登場した。会場からは割れんばかりの歓声が湧き上がり、しばらくは観客の興奮が収まらなかった。

飛び入りで参加したジョンは、エルトンと2人でまず『真夜中を突っ走れ』を披露した。続いてエルトンがカバーしていたビートルズの『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド(Lucy in the Sky with Diamonds)』と、『アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア(I Saw Her Standing There)』の3曲を演奏して、ステージを後にした。

マジソン・スクエア・ガーデン(写真/Shutterstock)
マジソン・スクエア・ガーデン(写真/Shutterstock)

その夜、会場にはジョンと別居中だったオノ・ヨーコが観に来ていた。コンサート終了後の楽屋で再会した二人は、長かった“失われた週末”に終止符を打ち、夫婦としての関係を修復していくことになる。

写真/Shutterstock
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しかし、まさかこれがジョン・レノンの生涯における最後のライヴとなるとは、その時は誰一人として思ってもみなかった。

文/佐藤剛 編集/TAP the POP