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3年間の“親子ダブルひきこもり生活”を変えた、息子のひと言「お母さんは何が楽しくて生きてるの?」…自分を責め暴れた60代女性の再出発
厳しい祖母に抑圧され、人の顔色を見て育った60代女性。21歳で結婚し2児の母になったが、長男が25歳でひきこもってしまう。介護の仕事は楽しかったが、同僚の自死がきっかけでオーバーワークになり、自身もラクナ梗塞を発症。気力を失い息子と共にひきこもった。自分を責めて家で暴れていた女性と息子は、どうやって自分の人生を取り戻したのか――。(前後編の後編)
ルポ〈ひきこもりからの脱出〉38
〈前編〉
家にひきこもり、酒を飲んで大暴れ
縁野朝美さん(64=仮名)が介護の仕事を辞めたのは54歳のときだ。当時、32歳の息子と2人で家にひきこもる生活は3年ほど続いた。
「気持ちが落ちてるときってさ、何でもマイナスに捉えてしまい、息子がひきこもったのも私のせいみたいに思ってしまって。なんか世界中が自分のことを責めているみたいな気がして、世の中の全てが怖くて。買い物もマスクして夜中にこそこそ行ってました。
ただ、息子を守らなきゃって思いが強かったから、何かしら料理を作って、洗濯して掃除をして。息子がいなかったら、まともに生きてられなかった気がします。