自身も仕事を辞めて家にひきこもる
家にいても気が休まらない。追い打ちをかけたのは同僚の自死だった。突然のことに大混乱に陥る中、グループホームの管理者だった朝美さんは、その同僚が担当していたデイサービスの管理者も兼務することになる。
「完全なキャパオーバーです。眠れないし、人の言うことが理解できないし、完全なうつ病ですよ。薬を飲みながら仕事を続けて、精神科で診断書も書いてもらったけど、事業が継続できなくなるからと、なかなか辞めることができなくて。
体調を崩した母の面倒も見られなくなり、兄に引き取ってもらったら、半年経たずに亡くなってしまい、ショックで……」
ある日、通勤途中で信号が変わったのに、進んでいいのかダメなのか、わからなくなった。同じ物を何度も買ってきてしまう失敗も繰り返していたので、認知症を疑い検査を受けたら、細い血管が詰まる多発性のラクナ梗塞だと診断された。それ以外に異常が見つからず、ストレスを溜めると悪化するので気をつけるよう言われただけで、薬も処方されない。
「ああ、もういいやって気が抜けて。それで仕事も辞めて、家にひきこもってしまったんです」
次男はすでに独立しており、長男と2人で、家にひきこもる生活が始まる――。
〈後編はこちら『3年間の“親子ダブルひきこもり生活”を変えた、息子のひと言「お母さんは何が楽しくて生きてるの?」』〉
取材・文/萩原絹代












