「私のほうからこうしろああしろというのはないです」

――伊東市議選の争点が田久保派か、反田久保派かという部分になっていますがそれについてどのように思いますか?

田久保眞紀市長(以下、同)
 いたしかたないのかなというのはあります。ですが、本来はそこではなく、やはり議会のあり方だと思います。

今回の9月の議会は人事も補正予算もある重要な議会だったのですが、私の不信任案を出すということで初日で終わってしまった。私も市議会議員だったこともありますからそれには非常にショックを受けました。

自分が辞職すべきか解散すべきか悩んでおりましたが、やはり一日目で大事な議会が放り投げられ、私の不信任案一色になったのを見てこれは解散するしかないと思って始まった選挙です。

田久保派か反田久保派かという取り上げ方がおもしろいのはわかります。ですが市議会議員は市民の一番身近な代表だと思いますから、どういう人がなるべきか、自分たちの生活にどんな関わりがあるのか、真剣に考えるきっかけになってくれたらいいなと思っています。

インタビューに答える田久保市長(撮影/集英社オンライン)
インタビューに答える田久保市長(撮影/集英社オンライン)
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――田久保市長を支持するとも支持しないとも言わない立候補者はステルス田久保派」「隠れ田久保派」と言われていますがそういった候補者は実際にいるのでしょうか?

隠れとかステルスというより、私も市議会議員だったので慎重に審議するというのはわかりますから、最初からイエスなのかノーなのかを決めてしまうというよりは議論したり、どうするべきなのかを考え、採決の直前まで迷うということはありました。はっきりしないうちからイエス、ノーを言い切るのも難しいことですし、態度を保留する立候補者が批判されるのは違うと思います。

――市議選に出ている候補者の中には田久保市長と以前から親交のある方もいらっしゃいますよね? そういった方が「支持をする」と表立って言えない空気があるのでは

そういったことは聞いていないです。それに私は候補者の考えが大事だと思っているので、私のほうからこうしろああしろというのはないです。最初から賛成ありき、反対ありきで動かなきゃいけないということでもありませんし、いろんな考え方を議論したり、それ自体を市民のほうが考えていったり、選んでいくというのもひとつの政治のあり方なんじゃないかと思います。

9月1日、伊東市議会で不信任が議決され、本会議場で帰り支度をする田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
9月1日、伊東市議会で不信任が議決され、本会議場で帰り支度をする田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)

――候補者の片桐基至氏は市長を支持し、不信任も出さないと表明していますが、どう思われましたか?

それもひとつの信念というか、こうあるべきと自分の考えをスパンと表明したのだと思います。正直、びっくりしましたけどね。

10月12日、伊東市議選で片桐基至候補の応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
10月12日、伊東市議選で片桐基至候補の応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)

――もともと親交のある方ですか?

もちろん面識はありました。ですが、親しかったから立候補したということではないですね。彼は政治家を目指してずっと努力をしてきていますから。自分の信念もあっただろうし、その中でした彼の決断というのは素晴らしいなと思いました。 

たったひとりであっても反対すべきときは反対する、賛成すべきときは賛成する。大多数の意見で判断するのではなくて、そう思ったら1人でも行動できる議員は絶対的に議会に必要だと思っています。

私派だから私のやることに何でも賛成とかそういう形になってしまったら、旧態依然とした元の姿と何も変わらないので、そうではない姿を私は求めています。

――公認してほしいと市長の方に話がきたのですか?

そういうことでは全然ないです。面識があり、お話したこともある方で、ああやってスパンと支持しますと言っていただいたので、そこまで言っていただいたら当然(応援に)行くと、そういう流れです。