「今後はこの仕事に執着はない」
「初めてミュージカルで大竹しのぶさんを見たとき、『これが本当の役者なんだ』と衝撃を受けました」
芸能界入り後、初めて自分でやりたいものを見つけた。勉強のために年間100本のミュージカルを観劇し、活動の軸足を徐々に舞台へと移していく。
「舞台が自分の一番輝ける場所、ここが自分の居場所なんだ」と確信したソニンは、活動を休止してエンタメの本場、ニューヨークに1年半の演劇留学に行くなど、舞台にすべてを注ぎ込む日々を過ごす。
かつてアイドル時代は流されるままだったソニンだが、舞台への情熱が評価され、2016年に菊田一夫演劇賞演劇賞、2019年に読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど、今ではミュージカル界で確固たる地位を築いている。
42歳となったソニン。今後の目標を聞いてみると、「正直言うと、この仕事に執着はないんです」と意外な答えが返ってきた。
「人生も後半戦に入ろうとするなかで、今は自分の人生を謳歌するために何が必要なんだろうと考えている段階です。
決してエンタメの仕事が好きじゃないから離れたいというわけではなく、人生って人の縁や運命の流れが確実にあって、その時々でやるべきことって自然と舞い込んでくると思ってるんです」
じつはソニンは2年前に、アメリカの最新栄養学の学校に通って資格(米国認定統合栄養ヘルスコーチ)も取得。クライアントもいるそうだ。
「人を幸せにしたい、みんなの心と体を健康にしたい気持ちから始めたんです。今後はそういう仕事に力を入れるかもしれないし、私自身、どうなるかはわからない。
いずれにしても、これまでもその時々の使命を全うしてきた25年だったはず。これからも依存せず、執着せず、人のためになること、人を喜ばせることを基本にして、自分の人生すごく真っ当に生きたなって思える選択をしていきたい、ただそれだけですね。
ファンの人からはあっちゃこっちゃ行ってるなって思われるかもしれないですけど(笑)」
彼女は最初から流されてなんかいなかったのかもしれない。なすがままに、人生という舞台で輝くために、ソニンは今日も演じ、歌う。
(後編に続く)
取材・文/武松佑季
撮影/二瓶彩