日本の無人機の運用・開発状況は? 

では、我が国の無人機の運用・開発状況はどうなのか? 現在のところ国産によるCCAも単独無人機も開発できていない。防衛省としては英国、イタリアとの共同開発をしている第6世代戦闘機(GCAP)の配備がはじまる2035年までに随伴機として開発したいという、極めて遅い反応だ。

国産が不可能ならすぐにでも国外より調達・配備し、その技術や運用方法を学ぶべきだが、トルコやイスラエルなど無人機開発で先行している諸外国の現状レベルでの機体の選定でさえも遅れているのが現状だ。

一方で現場の航空自衛隊は、連日の中国からの無人機による我が国の防空識別圏侵入へのスクランブル任務で疲弊している。ようやく海上自衛隊と協力して米国製の無人機MQ-9リーパーで「監視活動」を始めるというが実効性があるかどうかは疑問だ。

また日豪協力拡大の一環として、オーストラリア空軍の多用途無人機MQ-28A「ゴーストバット」(ボーイングと主にCCAとして共同開発)の飛行試験に対し、来年度から隊員を派遣することが決まった。しかしこれもまた「悠長な計画」と言えるのではないだろうか。

無人機の世界でもステルス化が進み、まさに推力もプロペラからジェットエンジンへの高速化が進んでいる。AI技術の発達で有人随伴機から単独で攻撃も可能な無人ドローンへと世界が変わろうとしている時代だ。今回の中国のステルス全翼機の登場は、明らかに無人兵器の開発史の中でもエポックメイキングな出来事だと言わざるを得ないーー。

文/世良光弘