家族と関係者の努力があっての「ごっつぁん逮捕」だった

この事件では、米国に逃亡を図っていた岡崎さんの元交際相手の白井秀征被告(28)が5月3日、帰国した羽田空港で捜査員に確保され、ストーカー規制法違反や死体遺棄、殺人容疑で逮捕・起訴されている。

しかし岡崎さんが行方不明になった際、自宅の窓ガラスが割られていたことや、事前に執拗に周囲をうろついていた白井被告が急に姿を見せなくなったことを不審に思った家族の指摘を、川崎臨港署が「事件性なし」と門前払いした。

その後も同署は白井被告の自宅などに拉致されている可能性を訴える家族のことを、ことごとく無視した。そして岡崎さんは4月に白井被告の自宅から遺体で見つかった。

白石被告(親族提供)
白石被告(親族提供)
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そもそも白井被告の身柄をおさえられたのも県警の捜査力ではない。家族と関係者の地を這うような努力があってのもので、いわば「ごっつぁん逮捕」だ。家族から相談を受けて“捜査協力”していた元兵庫県警刑事の飛松五男さんはこう語った。

「白井には兄と姉がいます。姉はカリフォルニア在住で、アメリカに逃げた白井はこの姉の手配で身を潜めていたはず。兄のほうは『弟なら拉致をやりかねない』と、失踪したアサヒさんを必死で捜していました。

彼は岡崎のお父さんのことを一時は手伝っていたのですが、途中から非協力的になって関係が切れました。

だがその兄から、4月30日夜に始まった家宅捜索の途中、5月1日の午前3時に岡崎さんのお父さんに電話があったんです。

遺体が出たことを知ったのかどうかはわかりませんが、その時間に電話してくるのは普通じゃないから、ピンときたお父さんは『弟の居場所を教えてくれ。姉が住むアメリカだろ』とカマをかけたんです。

白井の兄貴は『わかりました。調べてお知らせします』と返事して、翌日に『もう航空券を用意して帰国の段取りをしました』と電話してきました。どうも白井の姉ちゃんも(帰国するよう)白井を説得したようです」

警察はこのような形で帰国してきた容疑者を“ごっつあん逮捕”したにすぎない。

飛松氏(撮影/集英社オンライン)
飛松氏(撮影/集英社オンライン)