吉岡里帆×白石晴香の対談
物語の舞台は九龍城砦。ノスタルジックなこの街の、小さな不動産屋で働いているのは鯨井令子(映画版は吉岡里帆、アニメ版は白石晴香)。職場の先輩・工藤発(映画版は水上恒司、アニメ版は杉田智和)に淡い恋心を抱いているが、不意に1枚の写真を見てしまう。
工藤には自分と瓜二つの姿をした婚約者がいた……。辿ることができない過去の記憶、もうひとりの“鯨井B”の正体、そして九龍の街に隠された秘密とは?
鯨井令子をそれぞれ演じたふたりが、役と作品への思いを語る。
――まず、オファーを受けたときのお気持ちは?
吉岡里帆(以下、吉岡) 私は眉月(じゅん)先生の原作を読ませていただいて。ストーリーが本当にオリジナリティに溢れていてとても惹かれました。まず舞台が現在は存在しない”九龍城砦”という世界。しかもその“九龍”すら実在していなくて…主人公たちがそれに気づくまでの過程もドラマチック。実在しない場所で、実在しないかもしれない人を愛し続ける……特別な恋愛模様だと思います。
映画化にあたって呼んでいただけて本当に光栄に思いました。SF要素がある恋愛ミステリー、かつ狭く雑多な路地裏の商店など古い街並みを残す台湾での長期ロケ。そんないろんな要素がすごく新鮮で、挑戦できて本当に良かったです。
白石晴香(以下、白石) 私はオーディションを受けさせていただく前から、原作の漫画を読ませていただいて『いつか絶対アニメ化されるだろうな』と、すごく楽しみにしていました。
吉岡 そうだったんですね!
白石 はい。なので、オーディションのお話を聞いた時点で純粋にうれしくて、『来た~!』と(笑)。年齢やキャリア、今の私が令子の心情を演じるにはぴったりかもしれないと、どこか運命的なものを感じていました。令子役に決まったときは、心からうれしかったです。
――吉岡さんはアニメ版を、白石さんは実写版を見て、“こっちの鯨井令子、すごいな。リスペクトする!”と思われた点は?
白石 ありすぎる~!
吉岡 これは、ぜひ聞いていただきたい質問でした! 私は撮影を終えてからアニメ版を拝見したんですが、もう、白石さんが声をあてられたレコぽん(鯨井令子)が本当に魅力的。
白石 うれしいです!
吉岡 自分もレコぽんを演じたんですが、(白石さんは)全然違う角度から彼女を作られているように感じて、すごく素敵で大好きなキャラクターでした!
普段の白石さんの声の感じとはまたちょっと違い、大人っぽくて、等身大の女性っていう感じがして。『そっか、レコぽんってこういう解釈したほうがよかったかもしれない』と思ったりも。できれば、撮影前に見たかった!(笑) 白石さんのレコぽんに、私がもっとリンクさせるようなお芝居をしたかったと思ったくらいです
白石 いやいや、そんな。本当にそっくりそのままお返ししたい(笑)。つい最近、実写版を見させていただいたんですが、『うわ、このレコぽんにはやっぱり勝てない』って思いましたよ(笑)。