サザンのライブに行ってもはしゃげない
最近の“テンションあがった出来事”といえば、いとうあさこさんと一緒に沖縄で見たサザンオールスターズのライブです。
いやもう、これが本当に素晴らしすぎて。
69歳とは思えぬ桑田佳祐さんのパワフルな歌声にシビれながら、「沖縄まで来て良かった!」と心から思いましたからね。
ただ、そこで改めて痛感したのが自分のひねくれた性格です。
基本的にはしゃぐのが苦手。
簡単に「イエーイ‼︎」と拳を上げたりはしない、自分の脇の下をそう易々と見せたりもしない。
そんな私には、近くにいる人のテンションが上がれば上がるほど自分のテンションが落ちていくという謎の傾向があって。
この日も、コーラ片手に大きな歓声を上げるあさこさんのことを、どこか冷めた目で眺めてしまう自分がいたりして。
今思えば、子供の頃から感情を表に出すのがあまり得意ではありませんでした。
そんなに怒ることもなく、キャッキャとはしゃぐこともなく、たまにハハッと小さな笑い声を上げる、私のテンションは常に低め安定。
クラスのボス的な存在の女子から「これやってよ」と命令されれば、抵抗することなくヘラヘラと笑いながら対応する、小学生の頃はそんな女の子だったので。
まるで外気温で自分の体温が変わる、変温動物のイモリやヤモリのように、あの頃は自分の気持ちよりも周りの顔色を気にしながら生きていたような気がします。
そんな私が思い切り素直に感情を出せるようになったのは中高時代。
“男子と喋らない同盟”の仲間達に出会ってからなのかな。
大勢の前ではおとなしいけど、グループの中ではいつも大騒ぎ。
今でも忘れられないのが学校の休み時間に盛り上がった“うすのろばか”です。
トランプの手札を配り、参加人数から一人を引いた数のコインを中央に置き、同じ数字が四枚揃った人が現れた瞬間にコインの奪い合いがスタート。
コインを取れなかった人が“うすのろばか”になるっていうゲームなんだけど。
私達はコインじゃなくマッチ棒を廊下の先の遠いところに置いてね。
数字が揃った瞬間、それを奪いに全員がダッシュ。
廊下にいる全員が振り返るくらい、ギャーギャー笑い叫びながら走っていましたからね(笑)。
高校時代は友達のはしゃぐ姿を冷めた目で眺めたことなんてなかったし。
渥美半島にいた頃は今よりもきっと純粋だったんだと思う。
そんな私がひねくれてしまったのは、やっぱり東京に出てきてからなのかな。
大学の新歓コンパではビックリするくらいチヤホヤされず、男子たちから残酷なほどに背を向けられ、居酒屋の座敷の隅っこに追いやられた……あの頃から少しずつ心が曲がり始めたというか。
東京で生まれた「私なんて」の思いが、渥美半島では高く上げていた拳を、少しずつ引き下げていったような気がします。