アナハイムをロス扱いすると、怒る人はいる
そして根本的なことを申し上げると、エンゼルスの本拠地はカリフォルニア州のオレンジ郡アナハイム市です。ロス近郊であるのは間違いないのですが、正確にはロサンゼルスではありません。
そして神戸と京都の人たちが大阪と一緒にされると気分を害するように、アナハイムの人たちもロサンゼルスと一緒にされるのを嫌います。ロサンゼルス在住二十余年の地元民の私としても「アナハイムの方々はロスの人ではない」という認識ですし、アナハイムの方々も同じことを思っているでしょう。
ロサンゼルスがバリバリの都会でアメリカのセレブが集まり、常に流行がアップデートされるような最先端の街であれば、アナハイムがあるオレンジ郡はもっと新興ファミリー層がゆったりと南カリフォルニアの温暖な気候を楽しむ街です。
ではなぜエンゼルスはオレンジ郡にありながら、ロサンゼルスと名乗っているのでしょう。それにはチームの歴史が関わってきます。
エンゼルスが本当にロスにあった時代
エンゼルスが誕生したのは1961年、俳優・歌手のジーン・オートリーがオーナーとなり設立されました。オートリーと言えばカントリーミュージックの先駆者で「歌うカウボーイ」という異名を持っていました。オートリーは俳優業などを引退した後、球団を設立したのです。
当時から今と同じロサンゼルス・エンゼルスという名前でしたが、設立時の本拠地はちゃんとロサンゼルスでした。しかし、既に人気球団だったドジャースからうまく客を奪い取ることができず、1966年にはアナハイムに本拠地を移し、名前をカリフォルニア・エンゼルスに改称します。
アナハイムには1955年にカリフォルニア・ディズニーランドが開園しており、その影響で多くの観光客が訪れる街になっていました。
その後、1997年にウォルト・ディズニー社が経営に参加しました。そして名前をアナハイム・エンゼルスに変えました。これには様々な理由があると言われています。一つはディズニー社はディズニーランドがあるアナハイムという地名の認知度向上を図ったということ。
またもう一つ、地域密着型のチームを目指すという意味でアナハイムという地名を選んだとも言います。ちなみにこのころディズニー社はスポーツ球団の経営に積極的で、NHL(アイスホッケー)では「マイティダックス・オブ・アナハイム」(アナハイム・マイティダックス)を1992年に設立していました(後に売却)。