二刀流がチームに与える影響
3月18日、ワールドチャンピオンに輝いたロサンゼルス・ドジャースが東京ドームで開幕戦を迎える。2年連続でMVPを獲得し、メジャーリーグで「二刀流」を確立した大谷翔平ももちろん出場予定だ。
大谷翔平が「二刀流」としてプレーすることは、もはや、いち選手の挑戦に留まらない。
現在、投手・大谷の復帰時期は未定だが、マウンドに立てばサイ・ヤング賞を狙え、バットを握れば世界最高峰のスラッガー、そんな大谷はデータで見ても他の選手とは一線を画す価値を生み出しているのだ。
その影響を定量的に示す指標の一つがWAR(※1)。大谷の2021年から2024年のWAR合計はMLBダントツの37.9を記録。
2位はアーロン・ジャッジで31.8。3位のフアン・ソト(いずれもニューヨーク・ヤンキース)は26.1と、大谷とは10以上の差がついている。
大谷の年平均WARも驚異の9.5。(MLB平均は約2.0、オールスター出場クラスの選手でも5.0〜7.9)今年は8.1と予測されているが、毎年予想値を超えているのが大谷のスゴさだ。
そして、ロースター枠(登録枠)が40人に限られたメジャーリーグにおいて、二刀流で稼働することはチームにも大きなプラスをもたらす。大谷がひとりでエース級かつ、主軸打者を担うことで、他の選手がケガで離脱をしてもカバーでき、選手起用の幅を広げられる。これによりチームの勝利の可能性を最大限に引き上げているというわけだ。
こうした大谷の活躍は、投手か打者、どちらかひとつを選ばなければならなかった野球界の常識を覆し、今なおベースボールの未来を変え続けている。そんな大谷の価値は単なるWARやスタッツなどデータだけでは測れるものではないのだ。
(※1) Wins Above Replacement=選手がチームに貢献した度合いを表す指標。打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して、控え選手と比較してどれだけチームの勝利数を増やしたかを表す