立民は東京2議席確保に“蓮舫”を連日投入
そんな事情を抱えながらも選挙に出ることを決めた蓮舫氏は6月27日、「渡り⿃になってもいいから、もう⼀回国会で私を使っていただきたい」と言って去年のインスタでの表明をさらりと上書きし、街頭演説を開始。
選挙戦では選挙区候補とのコラボ街宣を続け、先週後半からは東京選挙区に出馬した同党の2人の候補と並んでマイクを持つ時間を増やしている。
定数が6の東京選挙区は、3年前の選挙で当選し辞職した蓮舫氏の席を埋めるための任期が3年限定の1議席を加え、合計7枠を32人が争う。
「各社の情勢調査では自民、立民、参政、国民民主、共産、公明の候補が若干優位で、最後の7議席目を立民の2人目と自民の2人目が競り合っています。
ここで立民が競り勝てば自民を追い落として東京で唯一2議席を取ることになる。これは象徴的ですし意味あいも大きい。そのため立民は東京2議席確保に力を入れ、蓮舫氏を連続投入しています」(党関係者)
その演説で蓮舫氏は、少子化対策や高額療養費の自己負担増、トランプ関税など、石破茂政権や自民党の政策批判に重きを置きながら、
「20年間(国会議員として)働いてきました。もういったんピリオドだと思ってたけれども、やっぱり私は石破さんを見て向き合いたいと思ってます」
と、早期復帰の弁解もはさんでいる。
演説を聞いた支持者の50代男性は、
「やはり蓮舫さんはアイコンのような感じですから絶対に国政にいるべき方ですよ。この1年でなんだか一皮むけたような気がしますね。都知事選の後、少し政治から離れるとおっしゃってたけど、今の政治にたまらなくなって出てこられるのが蓮舫さんらしくて嬉しかったですよ」
と話し、党が期待した根強い人気をうかがわせる。
その演説で印象的なのは、参政党が火をつけた日本人ファーストを巡る問題への言及が少ないことだ。
11日の恵比寿駅前での演説ではまったく触れず、12日は秋葉原駅前で、インバウンドや技能実習生が日本経済や社会に寄与していると指摘しながら、
「外国人は敵ですか? 私は、真剣にこの選挙でぜひ皆さんに考えていただきたいと改めて思っています」
と話したが、外国人の絡む政策問題で、珍しく他党の姿勢を正面切って批判する態度ではない。
秋葉原の演説後、外国人問題への姿勢をたずねようと記者が近づき「外国人問題の…」と声をかけたが、選対関係者が「はい、ゴメンゴメン」と言いながら割って入り質問を阻まれた。
党関係者は「今の参政党の伸長は、維新や国民民主の支持層が参政に回っているから」と分析。支持層が奪われているわけではないのでこの問題から距離を置いているようにも見える。
批判対象を石破政権一本に絞った立憲民主党の戦略の行方はいかに――。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班