東京藝術大学在学中にも地下通路が…

東京藝術大学にも謎の地下通路についての噂が存在する。そして有名バイオリニストである葉加瀬太郎も在学中、その地下通路を探検したことがあるらしいのだ。

学友たちとこの噂を探っていた葉加瀬氏は、音楽科のとある建物から地下に通じるルートを発見した。その暗く狭い通路をおそるおそる進んでいくと、辿り着いた先は、突然の行き止まり。ただ奇妙なことに袋小路の壁には、神社にあるような、ずらりと幣束が付いたしめ縄が飾られていたのだという。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

二十数年前、パーソナリティを務めるFMラジオで語ったエピソードらしい。私はそのラジオ番組を聴取したわけではないので、あくまでネット上の噂に過ぎないのかもしれない。とはいえ完全に創作されたネタとも思えない。

行き止まりの壁に掲げられた御幣というのが、なにやら伝奇ロマンめいた不気味さを感じさせる。

藝大は上野公園に隣接しており、江戸時代には寛永寺の敷地だった。江戸城の鬼門封じのため、天海が開山したという寛永寺。そうした土地の来歴にまつわる呪術めいた儀式が、藝大地下に存続していたとしたら興味深いのだが……。

上野公園(写真/Shutterstock)
上野公園(写真/Shutterstock)

先日、まったく別のラジオ番組にて、私と葉加瀬氏とが共演する機会があった。思わぬ好機を生かそうと、葉加瀬氏に藝大地下の件について訊ねてみたのだが。

「そんなこともあったかなあ」と否定も肯定もされないまま、話題は終わってしまった。