「これって、何のインタビューだったんですか?」 

 ──タレントとしてブレイク、そして芸能界引退、ホームレス経験など、波瀾万丈な人生と言われることについてはどう感じますか?

岸田 僕自身は、波瀾万丈だとは思ってないんです。一般的に就職して結婚して安定することが普通なら、自分にとっての“普通”は、こうして変化していくことなんだと思うんです。コロナも物価高もあるけど、その都度アップデートしていく。人生ってロールプレイングゲームのようなものだと思ってます。

──今後の目標を教えてください。

岸田 やはり、音楽はやめようと思ってもやめられない。これまでアルバムを3枚出してきましたが、まだまだ作りたいですね。芸能界も、ホームレスも、音楽も、全部“人に与えられた”ものじゃなくて、自分で選んだこと。だからこそ、後悔はないんです。

取材終了後、ボイスレコーダーを止めた記者に対し、岸田はこう問いかけた。

「あの、今さらなんですけど…。今日って、何のインタビューだったんですか?」

かつて“天然”と呼ばれた男のそのキャラクターは今も健在。変わったようで、変わらない“素”のままの彼は、また次の一歩を踏み出そうとしている。

取材・文/佐藤ちひろ