被害届を出したので事件の状況は話せないんですが…
こうした言葉は黒岩さんを襲った男が口にした罵声とそっくり重なる。このため襲った男は安野氏のポストを非難するポストに影響を受けた人物である可能性がある。
だが、考え方に同意できないからといって相手の人格まで否定する攻撃が許されるわけではない。ましてや発言者の家族に物理的な危害が加えられた事件がもし同じ動機でつながっているのなら、SNS空間での暴力が現実世界にあふれ出したと言える。
被害を受けた黒岩さんは、集英社オンラインの取材に「被害届を出したので事件の状況は話せないんです」と言いながら胸の内を語った。
「政治が持つ暴力性がSNSで増幅されることが起きていると感じます。今回の事件はSNS上でのレッテル張りも含めた炎上がフィジカルなところにいったのかもしれません。
安野は“敵と味方に分けるSNS的な対立構図から逃れないと今の政治を立て直せない”、という思いでやってきました。そこにある種、既存の政治が持っていた負の部分、暴力性みたいなのが流れ込んできてしまったように感じます。
敵味方に分かれること自体が前に進んでいることを阻んでいる要因だと訴えていたのに、こういった形でゆがめられてしまった。家族としては悲しいです」(黒岩さん)
決して許されない、政治を舞台にした暴力。参院選を前に、すべての政治勢力は暴力を許さないという決意を固める必要がある。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班