最悪なのは立憲民主党と国民民主党の振る舞い 

野党が行ったことは最初から成立させる覚悟が全くない「ためにする法案提出」であり、暫定税率廃止を実現することを望んだ国民に対する裏切りといえる。

ひょっとしたら野党各党は暫定税率廃止に反対する財務省と結託して、野党間での暫定税率に対する内輪揉めもワザと継続し、いたずらに会期末まで共同法案提出を見送ってきたのはないか、とすら勘ぐってしまう。 

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特に最悪なのは立憲民主党と国民民主党の旧民主党2党の振る舞いである。

立憲民主党の野田代表は言わずと知れた財務省の走狗であり、減税に関しては常に懐疑的なスタンスを示してきた人物だ。旧民主党時代には税金に巣食うシロアリを退治するという「シロアリ演説」で名を馳せたが、今や野田氏自身が増税論者としてシロアリ化している。

その野田首相は暫定税率廃止のドタバタの陰に隠れて、党内の一部にあった内閣不信任決議を提出するべきだという声を実質的に封じ込めることに成功した。

「絶対に法案が成立しないこと」は当然に知っている 

国民民主党は昨年末に与党から何の役にも立たない「暫定税率廃止」の空手形をゲットし、それを金科玉条として掲げて与党を批判してきた。しかし、与党側がそんなものを何ら意に介していないことは明らかだ。

なぜなら、その空手形には「暫定税率廃止予定日」が一切、記載されていなかったからだ。ガキの使いよろしく、本当に酷い交渉結果であった。本来であれば、国民民主党こそが早々に会期末の内閣不信任決議の提出主体となるべきであった。

今回の暫定税率廃止法案の野党7党提出は、旧民主党2党が主導し、他の野党に呼びかけて成立したものだ。旧民主党2党は「通常国会の冒頭から暫定税率廃止法案を共同提出」し、世論を盛り上げることで日本維新の会に圧力を加えて、彼らを早々に暫定税率廃止の戦列に参加させるべきであった。

だが、旧民主党2党のベテラン国会議員たちがとった行動は違った。彼らはこのタイミングで提出したところで「絶対に法案が成立しないこと」は当然、わかっている。

それにも関わらず、国会会期末まで共同提出の働き掛けをサボってきたのは、今回の茶番は内閣不信任決議をせずに済ませるために別の見せ場を作ることを狙ったからであろう。

与野党の茶番に飽き飽きしている 

このままでは、参議院議員選挙後、野党は衆議院少数与党との間で茶番を繰り返し、時には空手形を掴まされ、時には年金流用などの悪政に手を貸し、与党から餌を貰って何かをやったフリをする政治が繰り返すだろう。

では、日本国民はこの腐りきった国会の有様にどのように対処したら良いのだろうか。モノが分かった有権者は暫定税率に関する与野党の茶番に飽き飽きしている。したがって、今のところ、参議院議員選挙で与党が過半数割れするような雰囲気は存在していない。

そのため、野党勢力の中で、国会の茶番芸に通じた旧態依然とした野党ではなく、本気で減税を求める野党勢力の伸長が必要である。与党は野党が真剣に取り組まない限り、「減税」に関してゼロ回答を変える気はない。

今度の参議院議員選挙は「野党」に新しい風をどのように吹かせるのか、そして国民のために本当に働く議員を作れるのかが焦点だと言えよう。

文/渡瀬裕哉