「今思えばコリコリとして美味しかったのは半生だったのか」
有名店だけに営業停止処分は地元では話題になり、ニュースが出た7日からはシャッターが下りた店の前に常連客もやって来ていた。
その一人、30代の男性Aさんは「おいしいので何年も前からきています。鶏チャーシューのラーメンもずっとこのメニューでしたよ。チャーシューはやや生っぽかったですけど、やばいと感じたことはなかったですけどね」と話す。
店の前には今回の食中毒を謝罪する貼り紙やメニュー表のほかに「チケットを購入いただき店外でお待ちください」「せきなど少しでも調子の悪い方は入店禁止です」との貼り紙もある。
これらの文言を巡っても食中毒発覚後、SNSでは店を批判する投稿が相次いでいるが、常連の40代男性のBさんはこう解説する。
「店内はカウンターが10席ほどあるだけで、店長がワンオペで切り盛りしてます。せきをして出て行ってくれと実際に言われている人は見たことはないですけど、食べ終わった後は『長居をせんといてくれ』とかは言われます(笑)。あと、席が空くまでは店に入ってはダメというルールもあります。
まあ店長は忙しくて余裕がないんでしょうね。でもラーメンは美味しいから、僕も怒られないよう注意しながらでも行く、みたいな感じですね。鶏チャーシューですか? レアなんですよ。生肉っておいしいじゃないですか。今回はそれが原因なのかもしれないですけど、それでも店が再開されたらまた来ますよ」(Bさん)
遠くから評判を聞いて来た人もいる。8人の患者のうち3人は東京や埼玉から来た人だった。この8人には含まれないが、5月23日に来店して鶏チャーシューを食べ、腹痛に襲われたという関東在住の20代女性・Cさんに話を聞くことができた。
「人気店であっさり系のラーメンが好きなので行きました。鶏チャーシューは生っぽい感じですが、味も食べてる時は特に気にしませんでした。低温調理なんだなと思っていました。今思えばコリコリとして美味しかったのは半生だったのかなとも感じます。
店の前の注意書きのことは事前に口コミを見ていて少し緊張感がありました。店主はお世辞にも愛想が良いとは言えませんが、ルールさえ守っていれば特別(愛想は)悪くはなかったです。ただやっぱり緊張感漂う店内ではありました。
症状は、とにかくお腹が痛く水に近い便がでました。過去イチに近い痛みだったかと思います。その状態が2日間続きました」
Cさんは「保健所には連絡していませんが、ギラン・バレーには怯えています。どのくらいの確率でなるのでしょうか。お腹はもう治ったので検査はしなくてもよいのか、不安です」とも話した。
患者と確認された8人が食べた時期より少し前に来店したというCさんのような人について神戸市は、「同じ調理法でつくったものなら原因が同じ可能性はあります。ただ、今からの検査では原因の特定は難しいかもしれません」(食品衛生課)と話す。
店主の男性は神戸市の処分を受け、インスタグラムにも「この度は多大なるご迷惑をおかけし、またご不便・ご心配をいただき、大変申し訳ございません」「このような事態を招いたこと、重ねて謝罪申し上げます」との謝罪文をアップした。
各地で梅雨入りする中、普段に増して食品の衛生管理の徹底が求められる。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班