日大は「まともに取り合ってくれなかった」元部員が告白
裁判資料によれば、難波監督らは日大が把握できている範囲で少なくとも123人の部員をだまし、詐取した額は3795万円にのぼる(後の日大の発表では、被害額は5300万円にのぼると日大は主張)。
難波容疑者は学生らからお金をだまし取るときに、「2年目以降スポーツ奨学生として申請予定。1年目のみお支払いください」と虚偽の記載をした請求書を保護者らに送付していた。振り込み先口座は重量挙げ部の口座だった。
その使い道について日大側は、「重量挙げ部の活動に使用する一方で、家族や知人の飲食等に消費するなどしていた」と主張している。
取材を続けると、日大の対応に問題があると指摘をする別の元部員B氏や、当時の現役部員のC氏からも話を聞けた。「学費の不正徴収問題以外にもトラブルがあったが、日大はまともに取り合ってくれなかった」とB氏は明かす。
「実は、日大から重量挙げ部に毎年支給されている部活動で使用する際の補助金(=支援金)がありました。詳しくは知りませんが、相当な額と聞きます。他の部活動はその補助金で、交通費や宿泊費などがまかなわれていたのです。ところが、私たちは大会に出場するのに、強制で行かされる応援のための交通費も自腹でした。難波らに問い詰めたところ、曖昧にはぐらかされたのです」
学費の不正徴収事件と補助金についてOBらは日大へ直訴したという。
「日本大学の幹部が当時現役部員の前に立って話をしたのは、最初の事件発覚の話をした1回の説明会のみ。質疑応答の時間は圧迫感が強く、とうてい相談に乗ってもらえるような状況ではなかった。同期の保護者が問い合わせをしたところ、上につないでもらえず、具体的な説明がされなかったとのこと。『幹部が忙しいから』と言われた部員や保護者がいるとまで聞きます」(B氏)
また、元現役部員のC氏は説明会の様子をこう語る。
「難波監督が直接来ることなく、詐欺に加担したといわれているコーチが登壇し謝罪をしました。難波監督は問題が明らかになってから見たことはありません。コーチは説明会で一連の事件を『知らなかった』と主張していたものの、実際は難波監督に指示を受け、高校生らを勧誘し、ウソの請求書などを送っていたといいます。
不満に思った私たちは『もう一度ちゃんと説明して欲しい』と日大に掛け合いましたが、『忙しい』や『話せない』など言われて、具体的な説明がされることはなく、なぜかそれ以降はメンタルケア専門のカウンセラーがやってきました。詳しい話を知っているスポーツ局の幹部は説明会以降、私たちに説明をすることはなかったです」