集めたカネで農家にこの辺にアパートを次々建てさせて…
もはや「離農」というレベルではなく、農業が土台から音を立てて崩れていく様は誰の目にも明らかだ。そして、農協改革の急先鋒だった小泉ジュニアがやってきた。
「農協は金を集めても保険をやってもいいという(政府に)非常に優遇された組織だよ。そのせいか、本来は日本の農業をどうするかが先なのに、自分らの儲けを優先するようになってしまっている。
農林中金 (農林中央金庫) のやつらは集めたカネでこの辺にアパートを次々建てて、管理して手数料で商売しようとしていた事もあった。結局、『空き部屋が多すぎて家賃が入らない。頼むから部屋を埋めてくれ』と農協関連の不動産屋に泣きついたりしている。
農林中金は生産現場に目を向けて今何をすべきか考えてほしい。農水省も天下りばかりに腐心せず、農協のいいところを残して、離農者が続く現状にも目を向けてほしいんだけどな」
大ベテランの染谷さんには、国も農協も本筋から外れて方向性を見失っているようにしか見えない。
「国は今『みどりの食料システム戦略』という、日本の農地の4分の1にあたる100万ヘクタールを有機の圃場(ほじょう。水田や畑など農作物を栽培するための場所のこと)にする将来構想を掲げている。農家が減っているのに除草剤も化学肥料も使わない手間のかかる有機圃場を増やそうとしている。
今だって『もう百姓なんてやらねえ」って人がいるんだ。若い人が勤めをやめて田舎に戻って田んぼをやりたくても、所得を考えたら無理だろうしな。耕作放棄地が増えればそこにゴミを捨てたりする人もいるだろうし、また別の問題が上がってくるよ。今回、備蓄米で始まった小泉大臣も、生産地のほうも見て生産者目線でもやっていってもらいたいな」
離農者に歯止めがかかかず耕作放棄地が増える現状で、手間のかかる有機農場拡大を推進し、安価な外国産米の輸入でさらに生産者から競争力を奪う。
米国、フランス、オーストラリア。100パーセントを超える食料自給率を維持する先進国があるいっぽう、日本のそれは38パーセントと60年前の半分の水準に落ち込んでいる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班