タワマンは大規模修繕ができるのか?
都市には新陳代謝はあるが、建築は老朽化する。
現在、多くのタワマンは築年数十数年以内である。もう数年の後には建物の外装も含めた「大規模修繕」という一大関門が待ち受けている。
大規模修繕とは築12年~15年を目安にマンションの主に外装をメンテナンスする工事のことである。なぜ、大規模修繕が必要かといえば、外装は長年にわたり風雨にさらされ紫外線を受けることで、素材の劣化が起こるからである。
具体的には、外装仕上げのタイルや塗装、そして窓枠や換気口などの穴を塞いであるシール、そして防水層である。
実は、建物というのは内装に関してそれほど劣化が見られなくても、外装は確実に劣化が進んでいるのである。そして、部屋の中からは分かりにくい外装の劣化に気付いたときには、壁や天井から水が滲みてくるなど、正直手遅れなのである。
通常、外装に使われている仕上げ材はタイルである。タイルは水に侵されにくく耐熱性も耐久性も高い素材である。しかしながらタイルを張り詰めた隙間に充填する目地材が十数年後には劣化し、隙間から浸水していたりする。そうなるとタイルの接着面にも影響があり、剥がれたり、漏水したりの原因になる。
次に外装に使われる頻度の高い塗装であるが、これは紫外線により徐々に分解され塗膜の強度が落ちて粉を吹いたりひび割れたりする。
その結果は塗装された金属部分の錆さびである。錆を放置しておくと酸化した鉄は膨張し周囲にヒビ割れを誘発し、腐食が進むと鉄そのものが劣化してしまう。
そして、一番の問題が隙間や穴を塞ぐシール材である。
シール材とは樹脂やシリコンでできた粘性や接着性能のある充填材であるが、これは十年以前に劣化してしまう。
しかし、充填材という性格上隙間周辺に変化がなければ埋められたシールが痩せたり外れたりしない限りはなんとか防水性能を維持していることも多い。
であるが、十数年以内に必ずシールの劣化を補修しておかないと、毛細管現象を含めた浸水により、防水層の下の金属やコンクリートを劣化させ、さらなる腐食や強度低下を起こす。
そのため、大規模修繕による外装のやり替えは、現代建築において必須なのである。