モデルキャリアの多様化と業界の認識変化 

アジア圏への進出に伴い、モデルにも「ダイバーシティの傾向」が求められ始めた。

「90年代初頭に一世風靡したスーパーモデルのナオミ・キャンベルさんが、今また重用されています。当時はナオミさんをはじめ、その若さもモデルの必須条件の一つでしたが、現在のシーンでは『若さ』は必須ではありません。ナオミさんには、年齢を超えたモデルとしての魅力があるということです。

また、個性を売りにしたモデルだけを抱えているエージェンシーも増えています。タトゥーだらけだったり、高齢のモデルを専門としたエージェンシーも存在しています」

もともとはビューティスペシャリストとして海外で活動し、モデルやミスコンテスト出場者の育成を行なってきた林田さん。

モデル業を本格的にスタートさせたのは結婚、出産を経た30代に入ってからだったが、そういったキャリアは現在では特にネックではなくなった。

モデルで俳優の冨永愛も、出産後も現役でモデルを続けており、彼女の長男も母と同じく海外でモデルデビューをしたという快挙を成し遂げた。また、イーロン・マスクの母であるメイ・マスクは70歳を過ぎた今も現役でモデルを続けている。

「モデルやファッション業界の認識も変わりつつあるのを感じています。ファッションウィーク自体も時代に合わせて形を変えていくかもしれません」

モデルやファッション業界の先々を見据える林田さん。ファッショントレンドという移りゆきの早い世界で培ったモデルという仕事への誇りを纏い、彼女は今日も歩みを進める。

モナコで開催されたMiss The Glam Monacoという大会の表彰式でTop Model Awardをもらった時の林田季子(本人提供)
モナコで開催されたMiss The Glam Monacoという大会の表彰式でTop Model Awardをもらった時の林田季子(本人提供)
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林田季子●モデル、Kiel Management Japan代表、モデルトレーナー、ビューティスペシャリスト。
1982年生まれ、兵庫県出身。Vリーグで活動後、日本人初オランダリーグにてプロバレーボール選手として活躍。アメリカ生活を経てビューティスペシャリストとして活動。世界的ウォーキングトレーナーであるスティーブン・ヘインズに師事。モデルやウォーキング講師を務めつつ、2019年9月にはモナコで行われたMiss The Glam Monaco Internationalの日本代表として出場。現在は世界に通用するモデルの育成及び世界各国のデザイナーの飛躍の場を目指すJapan Runway Showの主催を務める。

取材・文/木原みぎわ