「職員の皆さんとのコミュニケーションが大事だということですね」 

終了直後に記者団からは斎藤知事に「パワハラ研修を受け、過去言動を顧みてパワハラがあったと認識したか?」という当然の質問が出た。

これに斎藤知事は直接は答えず、「第三者委員会としての認定については真摯に受け止めて、しっかりこれから風通しの良い職場づくりに向けて私自身も努力をしていくということで、今日研修を受けさせていただいた。研修のポイントとしては、やはり風通しの良い職場づくりに向けて職員の皆さんとのコミュニケーションが大事だということですね」と回答。自身を処分しない考えも変えなかった。

県は研修を「風通しの良い職場づくりのための県幹部職員研修」と名付け、斎藤知事のパワハラが原因で開催されたという印象を薄めようとしたが、メディアは一斉に「パワハラ研修」と報じた。

3月26日、記者会見を行なう斎藤元彦兵庫県知事(撮影/集英社オンライン)
3月26日、記者会見を行なう斎藤元彦兵庫県知事(撮影/集英社オンライン)

だが「パワハラ対策の第1部よりも、公益通報者保護制度に関する第2部を受講した後の知事の反応の方が実は注目されていました」と地元記者は指摘する。それは、内部告発者の保護に絡み、斎藤知事が政府の所管官庁である消費者庁の解釈を受け入れない異例の態度を取っているためだ。

「斎藤知事は、メディアなどに疑惑を書いた告発文書を匿名で送った元西播磨県民局長・Aさんを告発者と特定し懲戒処分にかけました。Aさんはその後亡くなった。自死とみられています。

ことし3月19日に第三者委員会は報告書で、告発文書がメディアなどに送られたことは公益通報制度の“外部への公益通報”にあたるとし、告発者を捜した県の対応は通報者の保護を定めた公益通報者保護法上の体制整備義務に違反していると指摘したのです」(地元記者)

Aさんの告発は「誹謗中傷性が高い」ため公益通報に当たらないと言ってきた斎藤知事は、この第三者委の指摘に対抗し新たな主張も始めた。

3月26日の会見で「体制整備義務につきましても、3号通報(Aさんのような外部通報)も含まれるという考え方がある一方で、(組織内の窓口に対する)内部通報に限定されるという考え方もあります」と独自の考えを開陳し、県が告発者捜しでAさんを特定・処分したことは「適切だった」と主張したのだ。