地元メディアが「速報」と銘打って報じたパワハラ研修
「4月25日に県がパワハラ研修を5月12日に行なうと発表すると、地元メディアは『速報』と銘打って報じました。普通なら速報する話ではなく笑い話に聞こえますが、知事のパワハラ絡みのことはそれだけ重大事と受け止められているのかと悲しくなります」
県庁職員がそう嘆く“知事の研修”はどのように実施が決まったのか。
「斎藤知事の一連の疑惑では、昨年3月に匿名の告発文書を県警やメディアに送った元西播磨県民局長・Aさんが、斎藤知事らによる告発者探しで身元をつかまれた後、4月に県の公益通報窓口に改めて通報手続きを取っています。
これに基づき県公益通報委員会の弁護士らが中身を調査しました。その結果、パワハラについては『確証は得られなかったが斎藤知事に強く叱責されたと感じる職員がいた』と判断し、知事らにパワハラ防止などの研修受講を求めるとの結論が昨年12月に公表されました。
また、昨年10月にも県の人事委員会が知事らへのハラスメント研修が必要だと表明しており、今回の研修はこれらの指摘を受け実施が決まったものです」(県政担当記者)
斎藤知事の疑惑は、県議会の調査特別委員会(百条委)と第三者委も調査を行なっている。
「この過程で告発者のAさんと百条委メンバーだった竹内英明元県議が相次いで自死しました。Aさんは県当局が告発者探しで入手した県公用パソコンの中にあった私的な文書の内容を当時の県総務部長、井ノ本知明氏が県議らに拡散したことなどに心を痛めていました。竹内元県議は『知事の疑惑は嘘でハメられた。黒幕は竹内だ』などというデマによる誹謗中傷で苦しんでいました」(県警担当記者)
百条委と第三者委は今年3月に相次いで調査結果を発表。
パワハラについて百条委は、斎藤知事が部下職員を怒鳴りつけたことを「パワハラ行為と言っても過言でない言動があった」と認定した。
第三者委はさらに踏み込み、斎藤知事の10件の言動を「怒りに任せて職員を論難した」「職員に精神的衝撃を与え、職員は畏怖し職場環境は悪化した」などとし、パワハラと認定。さらに斎藤知事が昨年3月27日の記者会見で告発者Aさんを「嘘八百」「公務員失格」と言い放った行為もパワハラと認定した。