「『知事と組まされたらシャレにならん』との声も上がっていました」

研修は、斎藤知事がパワハラを繰り返しているという告発を背景に、昨年12月に実施が決まった。部次長級の約200人の幹部職員が対象で「組織マネジメントやパワハラ対策」「公益通報者保護制度」「個人情報保護制度」の3部構成で、時間は計4時間20分に及んだ。

実際には業務の関係で参加できない幹部もおり、県人事課の説明では斎藤知事を含めた33人が講師と対面で話を聞き、他に88人が別の部屋で中継映像を観て受講した。斎藤知事が受講した場所は、疑惑を調べた県議会調査特別委員会(百条委)が知事を証人尋問した大部屋だった。

昨年9月6日、兵庫県議会百条委で証人尋問を受ける斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
昨年9月6日、兵庫県議会百条委で証人尋問を受ける斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
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「知事のパワハラが原因の研修なのになんで幹部が一斉に離席して受講しなければいけないのか、という不満が当初から渦巻いていました。

また、パワハラ対策を取り上げた第1部で“ミスをした部下への対応”をテーマに演習が予定されたことが実施前から話題でした。『参加者がパワハラの実例を再現するロールプレイをするんじゃないか。知事と組まされたらシャレにならん』との声も上がっていました」(県関係者)

しかしさすがに斎藤氏にパワハラを“再現”させるという悪夢のようなことはなく、杞憂に終わった。

「演習は講師の中川恒信・『中川総合法務オフィス』代表がパワハラの具体例を示し、それに対して最も適切と思う対応を選択肢から選び、隣の人と意見を交わす、というものです。斎藤知事のパートナーは服部洋平副知事でした」(県人事課)

他には、怒りのピークとされる6秒を深呼吸などでやり過ごす“アンガーマネージメント”の技術が具体的に教えられたという。

3月19日に兵庫県第三者調査委員会が公表した報告書(撮影/集英社オンライン)
3月19日に兵庫県第三者調査委員会が公表した報告書(撮影/集英社オンライン)