共同体の一体感を演出する一種の儀式

組織が「利益共同体」となってメンバーの既得権益を守ろうとする意識が強まると、そこに自浄作用が働くどころか、積極的に異分子や反逆者を排除するようになる。

たとえば内部告発者に対して人間関係のネットワークから排除するとか、あいまいな評価制度や人事の広範な裁量権を逆手にとるなど、目に見えない報復が行われるケースもある。

「一流」とされる組織ほど内向き「論理的に相手を説得できる人材」より「空気を読んで、円満な人間関係を築ける人材」を重視する奇妙な日本企業_2

他社へ転職するとき、すなわち共同体から離脱するときに罵倒されたという人も少なくなく、実際に塩を撒かれたという人もいる。

これらは共同体の一体感を演出する一種の儀式といえるかもしれない。

ちなみに共同体から離れると恐ろしい目に遭い、不幸になるという「出離」のタブーは明治時代から語られており(吉本隆明『共同幻想論』角川学芸出版、1982年)、恐怖を用いた囲い込み体質は今日まで受け継がれていることがうかがえる。