1日7時間、1年半で完成させた“総身彫り”に込めた美学

――刺青はいつから入れ始めたんですか?

G PLANTS(以下同) 最初は19歳の時に、足ですね。友だちのお父さんの刺青がかっこよくて、彫った人を紹介してもらって、その彫師に入れてもらいました。そのお父さんは腕に花札が入っていて、同じ花札のデザインを入れてもらいました。でも、その時は足だけ入れてすぐ行かなくなっちゃったんですよ。そこからしばらくして、金も稼げるようになった頃に、北九州の「小倉 彫まつ」っていう、超有名でスゴ腕の彫師さんにお願いして、改めて総身彫りを入れました。

地元・熊谷の団地周辺を案内するG PLANTS
地元・熊谷の団地周辺を案内するG PLANTS
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――総身彫りってことは、少しずつ増やしていくのではなく、もう最初から全身に彫る想定で絵柄も決めたってことですね。

よくご存じで。見ていただくとわかるんですが、俺の墨って全部の絵の線が、切れたり足したりされずに繋がってるんですよ。最初に全体を決めないと、この絵にはならない。あとから刺青を伸ばす、増やすでは描けない絵になっています。最初から全身みたいな(笑)。

総身彫りって、普通5年くらいはかかるって言われてるらしいんですけど、少しずつ彫ると九州までの飛行機代やばいんで、1日7時間くらい3日間連続で彫り続けて、1年半で完成させました。

――いきなり全身に入れるのは、相当な覚悟ですね。

刺青って、覚悟とか思い、意味とかを皆さん大事にされると思うんですが、俺はそれがまったくなくて、「デカい一生モンの絵を買う」「大人のスーツ、紳士の嗜み」ぐらいのノリでした。彫師としても、なかなか「どんぶり(総身彫り)」をイチから全部、同じ彫師で完成させるってあまりないと聞いていたので、あえて逆にすごいスピードで完成させましょうって、彫ってくれた小倉 彫まつさんと決めてました。

そういえば、この刺青を被写体にした写真が、青山にあるアニエス・ベーのギャラリーに飾られたことがあって、みんなで見に行ったんですよ。受付にとても上品なお姉さんがいて、見に来てるお客さんもさすが青山って感じの人たちばかりで。

飾られた写真を見てたら、受付のお姉さんが「その写真のお方ですか? その写真、今回の写真展で一番お問い合わせが入ってます」って言われて、本当にこの刺青を仕上げてよかったなと思いましたね。

写真家の小浪次郎さんに撮ってもらった、裸にふんどし一丁の俺がハシゴを登っていく写真なんですが、撮ってる時の現場は幾度となく笑いに包まれていたけど、いざ写真展に並ぶと、その写真が一番問い合わせが多かったって、やはり小浪さんおそるべし……ですね。

刺青は「どんぶり」(総身彫り)と呼ばれる、首から下、手首・足首の上まで全身に入った日本の伝統的なスタイル
刺青は「どんぶり」(総身彫り)と呼ばれる、首から下、手首・足首の上まで全身に入った日本の伝統的なスタイル

――墨を入れようと思ったのは、いわゆる本職の道を極めるとかではなく、音楽的な文脈から?

それはだいぶ古い考え方ですね(笑)。刺青=道を極める、極めたい人なんじゃなくて、道を極めてる人や極めたい人に、刺青好きや入ってる人が多いって考え方が、いまや現代的じゃないですか?

世界から見ても、日本独自の技術で、文化や伝統として、その技法や表現方法が様々な分野で評価されてると考えたら、全身を使った大きいキャンパスで、その日本のカルチャーを表現したいと思う人がいてもおかしくはないんじゃない?くらいの感じです。

海外のラッパーって、みんなタトゥー入ってるじゃないですか。俺もタトゥーカルチャーは大好きなんで、誰がどんなタトゥーを彫ってるとかディグったりしますし、逆に海外のラッパーも和彫りをディグったりするんだろうなぁと考えた時に、何人かは日本のラッパーも総身彫りや胸割りいなきゃでしょと思って、自ら手を上げました(笑)。