「もっと処分できる世の中になってほしい」

業務の指示に従わない、資料を紛失、数日でできる仕事に3か月もかかるうえに出来も悪いなどの問題があったという男性職員。県は二人を処分するまでに、2カ月間の業務観察、半年間の能力向上支援プログラムでの指導といった対応もしたが、結果的に“能力不足”の判断を下したようだ。

一般的に、仕事に就けば“将来安泰”とも言われている公務員が、“能力不足”を理由に免職されたことは世間に大きな衝撃をもたらしている。

〈他の自治体でもどんどん行なうべきだと思う。仕事をしない人がいるからちゃんと業務に取り組む人の負担が増えて、結果として潰されてしまうことが色々な自治体で発生してる〉

〈公務員に限らず、無能は無能なりの処遇にしないと、真面目な人が馬鹿を見るからね〉

〈県職員はもちろん、一般企業でもこういうのはもっと処分できる世の中になってほしい。解雇とかも。企業は簡単に解雇できない仕組みになってるけど、有害な給料泥棒や雰囲気を悪くするやつはめちゃくちゃいる〉

〈元から能力が高くなかったのか、それともやる気を失ってしまったのか…。皆が皆、向上心・出世欲を持ってるわけじゃないので、そういった人達にも居場所が無いと〉

免職された職員二人を心配する声もあれば、このような制度を日本でもっと幅広く簡単に実行できるようにするべきだという声もある。

解雇しやすい世の中が望まれている…?(画像/ Shutterstock)
解雇しやすい世の中が望まれている…?(画像/ Shutterstock)

今回執行された“分限免職処分”は聞きなじみのないものだが、いったいどのような制度なのだろうか。東北大学特任教授で、人事・経営コンサルタントの増沢隆太氏に話を聞いた。

「一般的に公務員はクビにならないといわれていますが、処分制度はあります。主に公務員の犯罪、非行などに対し、本人に責任を負わせるものが『懲戒処分』。懲戒免職になると退職金は出ません。

非行ではなく、能力欠如や病気欠勤など、通常業務が果たせない時に、本人の意に反して下される処分が、今回の『分限処分』です。分限とは“身分の変動”の意味で、“分限免職”の場合は退職金などは支給されます。

処分には、①降任、②免職、③休職、④降級があり、判断は慎重に行わなければならないため、役所や上司の一存で決まるものではなく、実際の執行は限られています」(増沢氏、以下同)