アシックスとナイキの明暗が分かれたワケ

アシックスは、競技用シューズの技術やデザインを日常向けに生かした「スポーツスタイル」と、「オニツカタイガー」の好調ぶりが目立つ。スポーツスタイルは2026年1月~6月が83%の増収、オニツカタイガーは36%の増収だった。

オニツカタイガーは国内のインバウンド需要が強く、スポーツスタイルは北米・欧州で大幅に伸びている。2026年1月~6月のスポーツスタイルの売上高は為替の影響を除いても北米・欧州ともに約1.8倍に急伸した。

スポーツスタイルは「GEL-NYC(ゲルエヌワイシー)」「GEL-KAYANO14(ゲルカヤノ14)」など、衝撃吸収素材「GEL(ゲル)」を搭載した高機能シューズが売れ筋だ。履き心地に加え、ファッションとしての魅力も支持されている。アシックスは主力商品の販売価格適正化も図っており、2026年4~6月のスポーツスタイルカテゴリーの粗利益率は前年同期比0.9ポイント上昇して52.3%となった。高付加価値化と増収が両立しており、好調ぶりがうかがえる。

アシックスは競技用のランニングシューズで、北米のランニング専門店との関係を強化、2023年3月から2025年3月までにマーケットシェアが約2倍に拡大している。

海外でも好調のアシックス(写真/shutterstock)
海外でも好調のアシックス(写真/shutterstock)
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専門店では、試着に加え、足の形や走る目的に合うモデルを接客で薦めてもらえる。機能や履き心地を伝えるうえで、アシックスにとって重要な販路だったわけだ。

真逆の戦略をとっていたのがナイキである。2017年に直販重視へと舵を切り、コロナ真っ只中の2020年6月にその戦略をさらに推し進めて、自社ECでの販売を強化したのだ。直販と卸売先の商品配分を見直した。

ナイキは2023年5月期が前年比10%もの増収で絶好調だったが、2024年5月期は微増、2025年5月期は10%の減収だった。急ブレーキがかかったのだ。

ナイキは直販への偏重により、卸先と競合する状態になったと説明している。直販のEC販売がスニーカーの新たな需要を生むと予想していたが、結果として小売店と既存のシェアを食い合う状態になったというわけだ。

ホカやオンの躍進も、ナイキの不調と重なる部分が多い。戦略ミスが命運を分けた可能性が高そうだ。

アシックスはナイキの隙をついたとも言えるが、マーケティングも強化していた。ファッションブランド「HIDDEN NY」や「JJJJound」などとコラボレーションを展開し、「Kith」などの有力な小売店と連携した限定企画を立てていたのだ。

ナイキが販売戦略の見直しを迫られる一方、アシックスは販売網の強化とマーケティングを積み重ねていた。市場の変化を成長につなげる準備ができていたと見るべきだろう。