手術をすれば競技生活が終わるかも…
37歳でトレーニングに目覚めて以降、これまで数々のコンテストで結果を残し、昨年10月、スペインで開催された国際大会「IFBBアーノルドクラシックヨーロッパ」では、日本女子選手初の金メダルにも輝いた。
そんな順風満帆に見える長瀬さんの競技人生には、数々の困難が立ちはだかった。その最初にして最大の試練となったのが、2018年に発覚した子宮頸がんだ。
「初めて出場した2017年の『オールジャパン』(※)は2位に終わり、リベンジを誓った2018年大会直前のことでした。そのとき、生理が2日遅れたんです。
今までどんなに追い込んで鍛えても激しい減量をしても、周期が乱れなかったのでおかしいなと思い、念のため婦人科に行ってみると、『そのくらいの年齢じゃよくあること』と言われました。安心してせっかく婦人科に来たのだから、ついでにいろいろ検査してもらってその日は帰ったんです」
(※)「オールジャパン フィットネスチャンピオンシップス」=JBBFが主催する国内最高峰のコンテスト。当時の名称はオールジャパンフィットネスビキニ選手権
しかし1週間後、検査の結果、子宮頸がんであることが伝えられた。ステージはⅡB。
とにかく早く手術が必要な段階だ。しかし……。
「去年の雪辱に燃えていて、その後には初めての世界選手権(IFBB世界マスターズ選手権)に出られるかもしれないという状況でした。手術で子宮を取ると脚や下腹部がむくみやすくなる可能性があって、そうなったら今後、競技を続けていくのは難しくなる。
これが最後のチャンスになるかもしれない。だから手術を2か月待ってほしいとお願いしたんです」