ポテンシャルも大事だが…

球児たちはこの冬、厳しいトレーニングで技術の向上だけでなく、春の頂点を目指してチーム戦術の精度を磨き上げてきた。

とはいえ、夏の戦いが終わり、3年生が引退しての新チーム。秋季大会を経たとはいえ、センバツの段階では戦術や連携面の完成度がまだ十分に整っていない。

この時期は、チーム全体としての組織的な戦略や戦術よりも、個々の選手のポテンシャルに依存することが多い。そのため、圧倒的な能力を持つ投手や打者がいるチームであれば、その選手の活躍によって勝ち上がることが可能となる。

昨年のセンバツでいうと、優勝した健大高崎の佐藤龍月と石垣元気や、準優勝した報徳学園の今朝丸裕喜と間木歩はWエースとして大会前から注目度が高かった。

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場

しかし、どれほど選手の個の力が際立っていても、勝ち抜くためには基本的なプレーの精度が求められる。例えば、勝負どころでの犠打の失敗や守備の乱れといった課題を抱えているチームは、これらが敗因となり僅差の試合の勝率が下がる。

そのため、秋季大会からセンバツにかけては、選手の能力だけでなく、最低限の基礎力や守備力が備わっていないと勝つのは難しい。チームとしての成熟度が高くなくても、守備の精度や小技の遂行能力が一定以上あれば、ポテンシャルの高い選手を中心に据えてまわりが脇を固めた戦い方で勝ち進むことができるのだ。