「女性が男性を喜ばすための情報ってまだまだ少ない」
──そもそも光杏先生は、どうして性教育の活動を?
もともと高級ソープで働いていたんです。でも、お客さんに胸を乱暴に揉まれたことがきっかけで、胸のリンパが腫れて水が溜まってしまい、手術が必要になりました。
術後は傷跡が残ってしまったので、それが消えるまでソープの仕事を1年ほど休もうと決めたのですが、その間に性知識の発信をしていたら予想外に活動が広まったので、その流れで今はセミナーや性教育の発信に力を入れています。
──もともと性教育をしたいという考えはあったんですか?
辛い思いをする女性がいなくなればいいな、とは思っていました。
私が胸を手術するきっかけになったお客さんも、正しい知識を知らなかっただけで、悪気はなかったと思うんですよね。それでも傷つく女性がいるという現実は悲しいことなので、辛い思いをする女性を減らすために正しい知識を発信したいなと思いました。
──なるほど。そういう経験から主に男性向けに発信しているんですね。
男性にはもっと女性のことを気持ちよくすることで楽しくなってほしいんですよね。相手を喜ばすことに幸せを感じるって、すごい人生が楽しくなることだと思うので。
──光杏先生自身が、昔から他人を喜ばすことに幸せを感じる性格なのでしょうか?
いいえ。私は11歳と12歳のころに2度、不審者からの性被害に遭っていたことあって、男性に対する復讐心で風俗の世界に飛び込みました。
自分が男性を支配してやってるって気持ちもあったし、お客さんにされた嫌なことをネタにしてSNSで悪口もたくさん言っていました。心のどこかで男性のことをバカにしていたんだと思います。
──そうした考えが変わったのはなぜでしょうか?
26~7歳くらいのとき、若い頃とは違ってただ脱ぐだけでは売れなくなってから変わりましたね。どうしたらお客さんに喜んでもらえるだろうか、と真剣に考えてこれまでの自分を振り返ったときに、自分の中に男性に対する復讐心があったことに気がつきました。
「このままではお客さんに喜んでもらえないな」と考え直して、それこそセミナーや書籍からコミュニケーションや性に関する勉強をして、自分の接客に取り入れるようにしました。それから、相手に喜んでもらうことって楽しいことなんだなと思えるようになりました。
──なるほど。今後は、どんな活動をしていきますか?
今後は、女性向けの発信も増やしていきたいですね。男性向けの性のテクニックの情報って世の中にたくさんあるけど、女性が男性を喜ばすための情報ってまだまだ少ないんと思うんです。
セックスはお互いの共同作業だと思うので、気持ちのいい時間を過ごすために女性も学ぶ必要があると思うんです。だから今後は風俗で働くなかで得た知見を活かしながら、一般の女性に役に立つような発信もしていきたいですね。
取材・文・撮影/山下素童
〈プロフィール〉
光杏先生(こうあんせんせい)
男性・女性・風俗嬢にも教える「性教育インフルエンサー&セミナー講師」。SNS総フォロワー25万人。性テクセミナー総動員数3000人突破。思いやりと楽しさで広げる、新時代の性教育をモットーに活動している。