「母に教えられた格言の一つは“大衆は豚”です」
──第66話で、「わが子ちゃんがかわいそうだよ」と言ってチャラヒゲさんに不満を述べた峰さんが、しばらくして、子どもがかわいそうだからではなく、「私が不快な気持ちになるから不満を述べた」と反省して謝罪するシーンが、すごくよかったです。子どもを建前にして大人が自分の意見を押し通してしまうときってありますよね。
峰なゆか(以下同) それは言ったのが自分なんで気づけたんですけど。他人から「子どもがかわいそうだよ」って言われたら、「あれ、かわいそうなのかな、これ」って不安になっていたと思います。自分で言ったから、自分の中の邪悪な気配に気づいたんです。
──自分の中の邪悪さをモニタリングする力が強いんですね。
そうですね。自分の中に何か違和感があったときに「なんだろう?」って考えるのは基本的に好きですね。
──自分が間違ったことに気づいても謝らずにやり過ごすとかは、峰さんはしないんですね。
それは気持ち悪いのでしないですね。子育て中って、たくさん会話をしているようで、実はタスクの共有、報告がほとんど、になってしまう夫婦って結構多いと思うんです。やることがたくさんあるのでそうなってしまうのもわかるのですが……自分の悪かった部分に気づいたら言葉を尽くして謝るとか、パートナーとしっかり「会話」をすることは大事にしたいなと思っています。
──同じエピソードの中で、峰さんの母親が「妖怪赤ちゃんかわいそうババア」になってるとも描かれています。母親にも遠慮しない描きっぷりですね(笑)。
私も自分が不快なだけなのを「かわいそう」と邪悪な不満を述べてしまいましたが、母親も同じだったんだなと思って、そこは客観的に描きました。人の愚かな部分から目を背けずにその背景を冷静に考えるというのは母から教えられたことでもあるので。ちなみに、母に教えられた格言の一つは「大衆は豚」です。
──パンチのあるワードですね! 峰さん自身も「大衆は豚」って思いますか。
思ってます。ただ、豚もけっこう頭がいいんです。
──どういうところがですか?
豚は賢い豚についていくんです。
──(笑)。どのタイミングでお母さまから「大衆は豚」って教えられたんですか?
小さいころから私が周囲に馴染めないでいると「大衆は豚だから別に仲良くしなくてもいいんだよ」と教えられました。豚に評価されなくても気にしなくていいし、もしも評価されたんなら豚にわかるものを作り上げたんだからすごいとと思え、みたいな感じで。
──峰さんもわが子ちゃんに、周りと合わせる必要がないという考えで教育をしているのでしょうか。
それでいうと、うちはそんなに焦ってトイレトレーニングをしてないんですよね。オムツがはずれててもいい時期なのにまだはずれてないんですけど、周りと比べることもないかなって。「トイレトレーニングをちゃんとしてなかったから、成人になってからもオムツじゃないとできないんですよ」っていう人に今まで会ったことがないので、まぁそのうちオムツ外れるっしょ、みたいな感じでやってます。
【漫画】『わが子ちゃん』
【漫画】『わが子ちゃん 4』第66話を読む(漫画を読むをクリック)
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#2 「ダサすぎる!しかも使いづらい!」峰なゆかが赤ちゃんのオムツに感じた怒りと疑問
文/山下素童 撮影/野﨑慧嗣