ヒットのウラにキラキラ表紙、表情にこだわった
——「最強王図鑑」シリーズは本にとどまらず、アニメ化、ゲーム化、多くの関連商品も発売されています。これは予想通りなのでしょうか。
目黒哲也(以下、同) 個人的には「みんなきっと好きなはずだ」と思って作っていますが、ここまで子どもたちが手にとってくれるとは予想していませんでした。『こうだから売れるはず』という明確な戦略も示せませんし……。
実際に書籍化、商品化してみた結果、「こういう意見もあった」「もっとこうしよう」など、毎回少しずつ調整する柔軟さを大切にしています。
——確かに、ルールの内容が少しずつ変わっていたり、毎回ブラッシュアップされていることが読みとれます。
当初、想定読者層は小学校高学年でしたが、実際には小学3年生をコア層として、さらに下の未就学児の子どもたちも読んでくれていることがわかりました。フリガナを記載していない漢字もありましたが、3冊目からはすべての漢字に振り仮名をつけました。
部数が伸び、他社でも同様の本が出始めたので、遠目でも目立つように7冊目の『異種最強王図鑑』から表紙を思い切ってキラキラ仕様にして、現在も継続しています。
イラストレーターの方も、「リアルな絵の中にも、より表情を豊かに描いてくれる人」という観点を大事にしています。
売れたから、何も変えずにいくと定番的なスタイルに落ち着き、視野も内容も狭まってしまいますよね。結果が出たものを、さらにどのように育てていくのか。常に変化を恐れない。そして、チャンスの芽は大切にしています。
——チャンスの芽を感じたタイミングは?
7冊目の『異種最強王図鑑』です。それまでは、「色物だから、出オチ的に売れていて、定番にはならないのでは?」という社内の半信半疑な空気を感じていました。
でも、その頃チョコエッグ(フルタ製菓)など「最強王図鑑」のライセンス商品がでたり、同様の本が出始めるなど少しずつ周囲での波を感じ始めていました。そして、自分にとって大きな自信につながったのは蜷川実花さんのSNSでの書き込みでした。
《この本最高すきてw寝る前に子供に読むたびについ爆笑してしまう 妄想はどこまでも自由 妄想力の勝利!! 私も負けないw #異種最強王図鑑》
これを読んで「あ、わかってくれる人もいる。自分がやっていることは間違いではない」と背中を押されました。
カバとクワガタ、キリンとオオエンマハンミョウらを戦わせ、より妄想の世界に浸れるように振り切った内容にしてみたことが功を奏したと思っています。