「買いたいのに、買えない」空前の大ブーム
発売から27年が経つたまごっちは、メイン機種である全37種類ものシリーズをリリースし、そのときどきで時代を反映させたコンテンツや機能が付き、常に新たな遊び方を提案してきた。そんな、たまごっちの進化の歴史や現在地について「株式会社バンダイ」トイディビジョン グローバルトイ企画部の岡本有莉さんに話を聞いた。
流行の先端を行く女子高生たちから火がつき、爆発的な人気を誇った初代たまごっち。発売当初はおもちゃ売り場に2000人以上が並び、どこの店でも売り切れが続出した。だが、そんなブームがやがてはひと段落し、しばらくは鳴りをひそめていたという。
「初代たまごっちの『携帯型デジタルペット』というコンセプトは、当時は画期的なアイデアで、多くのお客さまを魅了しました。その後、1999年に生産中止してからは、新たな商品開発の目処は立っていませんでしたが、2000年代初頭に社内で『親が持っていた初代のたまごっちに子供が夢中になって遊んでいる』というのが話題になったんです。
バンダイとしても、自社の貴重なIPとして成長させていきたい思いもあり、たまごっち人気の再燃を期待し、2004年に『かえってきた!たまごっちプラス』を発売しました」(岡本さん、以下同)
2000年代に主流だった「ガラケー」のように、「かえってきた!たまごっちプラス」以降に発売された機種には、赤外線通信機能が搭載されるようになった。
トイレ、お風呂、食事など、ペットのようにお世話をする体験はそのままに、ユーザー同士でアイテムを交換したり、ミニゲームを楽しんだり、仲良くなってパートナーになったり、といったコミュニケーション機能を強化したのだ。
「2000年代はペットとしての側面を持ちつつ、友人と一緒に赤外線通信でやりとりして育てていく体験を設計し、新しいたまごっちの遊び方を提案していた時期でした。2008年には『たまごっちプラスカラー』を発売し、歴代で初めて液晶画面がモノクロからカラーに変わり、キャラクターの表情をより豊かに表現できるようになったほか、時間や季節の移り変わりなどの描写も可能になったんです」