恨みは「忘れる」ではなく「かき消す」

<積年の恨みは、病の元になります。恨んでいること自体がどうでもよくなるくらいに、心がわきたつもの、心が動くものを見つけます。これは、あなたの人生なのですから。>

誰かへの恨みは、そう簡単に忘れられるものではないかもしれません。そうであったとしても、過去の恨みをずっと抱えて生きていくよりは、年齢を重ねるごとに、いやなことはサラリと忘れて、今日出会う人や今日起きることに意識を向けて生きていくのが幸せなのではないかと思います。

過去に起きたつらいできごとが忘れられず、恨み続ける人、さらに年々恨みが深くなっていく人がいますが、「あのことだけは絶対に許さない」とか、「私の目の黒いうちは」と言っていると、眉間にはシワが寄ってしまい、ずっとしかめっつらでしょう。

夫の不貞を許すか、許さないか…93歳の心療内科医が、恨みは「忘れる」ではなく「かき消して」と説く理由_1
すべての画像を見る

そんなときは、もしもここで恨みを忘れて、自分のために生きられるのなら、これから1年、どんな毎日が待っているのか、想像してみてください。

過去に起きたことは、変えられません。

相手やできごとのせいにしていても、幸せな気持ちにはなれません。

幸せになるために、今できるのは、今日をどう生きるか、どう自分を大切にするか、ということだけです。恨みに苦しめられないためには、その恨みをなんとかしようとするよりも、それをかき消してしまうような、それよりも「大きな喜び」を見つけるのが早道です。

「大きな喜び」は、日常の中に隠れていますから、それを見つけ出してください。そのために、今に意識を向けて、今日出会う人、起きることに集中します。そして、生きている限り、「今日」は続きます。