「東京ではドローンで散布する」と宣言していたが… 

来日したのは、漁船船長だった父が海上で拿捕・拉致された「拉北者家族会」の崔成龍(チェ・ソンリョン)代表(72)や、1975年に拉致され2007年に韓国へ戻った元漁船員Aさん(77)ら。

当初、昨年12月の来日を計画したが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(職務停止中)の戒厳令宣布による政情不安で延期していた。

ビラには横田めぐみさんや、めぐみさんの元夫とされる韓国人被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏らの写真や拉致の状況などが記されている。

拉北者家族会が用意したビラ(撮影/集英社オンライン)
拉北者家族会が用意したビラ(撮影/集英社オンライン)
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 崔代表らは韓国内から北朝鮮に対し、風船に付けてのビラ散布をたびたび行なってきた。今回、韓国出国前から「東京ではドローンで散布する」と宣言。

朝鮮総連周辺は住宅街で、日本の航空当局が飛行許可を出す見込みはなかったが、崔代表らは飛行が認められなければビラの束を総連の建物に投げ込む計画だったという。

崔代表らは28日午後9時すぎに成田空港に到着。この直後、まず一行の中にいた脱北者団体「自由北韓運動連合」の朴相学(パク・サンハク)代表について、韓国内での違法行為の前歴が入国審査で問題にされ、通常、韓国人の短期滞在には不要であるビザ(査証)を求められて入国できなかったという。朴氏はその日の夜のうちに仁川行きの便で帰国した。

崔代表らの説明では、残る6人に対しては、税関でドローンに関する質問が続く中、「警視庁」を名乗る10人以上の捜査員が現れ、「ドローンを使用しない」という誓約書を書くよう求められたという。

これを拒否した一行との押し問答が29日未明まで続いた。崔代表らはその間に東京にある韓国大使館に状況を伝えている。

1月30日、朝鮮総連の近所で拡声器で訴える崔成龍代表(撮影/集英社オンライン)
1月30日、朝鮮総連の近所で拡声器で訴える崔成龍代表(撮影/集英社オンライン)