「新しい働き方」は効率性と自由を求める
昭和の働き方が是とされたのは、経済全体が成長していたこともあるが、それ以上に社員の側の交渉力が弱かったからだ。
一つには、転職が難しくて会社を辞めるという選択肢が行使しにくかった。
また、もう一つには、会社が用意したポストと働き方で会社の言いなりに働いているので、会社側から見て「自分の代わり」がたくさんいることも、使う側の力の強さにつながっていた。この点は、働く側の工夫のなさにも問題があった。
「新しい働き方」は、第一に、稼ぎに「時間の切り売り」では達成できない効率性を求めて、なるべく若い時点で効率良く財産を作ることを目指す。
第二に、働き方の「自由」の範囲をかつてよりも、もっと大きく拡げたい。
そして、二つの目的は矛盾しないので、安心してほしい。一方のより良い達成を目指すことが他方の達成をもサポートする相乗効果がある。
そのために必要なマインド・セットは、(1)常に適度な「リスクを取ること」、(2)他人と異なることを恐れずにむしろそのために「工夫をすること」の2点だ。
息子よ。君に宛てた手紙の中では、「『自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ』ことを目指す古いパターンよりも、『自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る』のが、新しい時代の稼ぎ方のコツだ。リスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった」と書いた。あの部分の意味はこういうことだ。