株式投資は「働かないで稼ぐ」ことではない

「お金にも働いてもらうといい」という言葉の意味を説明したい。

古い世代には、投資で稼ぐことを「自分が働かずに、お金でお金を得ようとすることだ」として忌避する感覚を持つ者がいる。

山崎元氏
山崎元氏

しかし、図1で分かるように、「生産」には「労働」とともに「資本」が必要であり、株式投資は自分のお金を資本として提供して「働かせる」ことであり、この際にリスクを負担している。決して働かずに儲けようとする行為ではない。

そして、投資の目的がリスクプレミアムの獲得であり、そのための効率的な手段が「全世界株式のインデックスファンド」を長期保有することである。

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お金の問題は感情を排して理屈と計算で考える

手持ちのお金を増やすための資産運用をはじめとして、お金の問題には誤解しやすい罠や、誤った俗説が多々存在している。

誤解が存在する主な理由は、お金の問題は人間の「感情」に働きかけやすいので、本来、論理や計算で処理されるべき問題の答えを間違えやすいこと(行動経済学的理由)と、金融ビジネス業界が自ら儲けるために流している誤解や俗説の影響が方々に存在すること(ビジネス的理由)の二つだ。

他人の話を真に受けたり、ビジネスに影響された書籍や記事の影響を受けたりすると、お金の扱い方で間違いを犯しやすくなる。

一つひとつの問題に直面した時に、自分の頭を使って論理と計算で解決することが肝心だ。お金の問題は、金額で正否が評価できるので正解を確認することが比較的簡単だ。