人生には運命と因果がある
私は自分がつくりました人生の方程式を、「人生の結果の法則」と言ったりするのですが、人生にはもう一つ「因果の法則」というものがあります。
宗教的な話になってしまうかもしれませんが、私が因果の法則というものに気がついたのは、安岡正篤(やすおかまさひろ)という人の本を読んだときでした。
もう亡くなられましたが、安岡先生は戦前戦後の日本の精神界をリードしたすばらしい哲学者です。多くの中国古典を日本に紹介し、日本のリーダーたちの精神形成に大きな影響を及ぼしました。
安岡先生の書いた本の中に『運命と立命』というものがあります。若い頃に読み、私はたいへんな感銘を受けたのですが、これは中国の『陰騭録』(いんしつろく)という本を例にとり、人生には運命と因果の法則の二つがあるのだということを、インテリの人たちにもわかりやすいように紹介している本です。
簡単に説明をしてみます。
『陰騭録』は今から400年ほど前、中国・明代に袁了凡(えんりょうぼん)という人が書いた本です。