「頭に誰かが捨てていったガラクタが詰まっているようだった」
せめて、もう少し若ければと思った。
レギュラー仕事を失ったこともあり、30年以上続けたライター業が自分に向いているかも疑わしくなってきた。
学生時代や20代のうちに発達障害に気づいた人が、自分の適性に合った仕事を探して天職に巡り逢えた事例をネット記事で読んだが、今の僕に自分探しをしている余力はとてもではないが、ない。
将来について考えると、ベッドに横たわっていても恐怖で脚がすくんだ。
気がつけば就寝前に睡眠導入剤と酒を同時に飲むようになっていた。胸痛と飲酒は関係しているようだった。
医者には何度も止められたが、それでもやめられなかった。
こんなことをしていたら寿命が縮む。素人でも分かることだ。でも、その頃の僕はそれでもいいとさえ思っていた。
生活費を捻出するために原稿を書き、単発のアルバイトをする。今はとにかく凌ぐしかない。
それ以外、何も考えられない。
頭に誰かが捨てていったガラクタが詰まっているようだった。
そんな中、東京で開催された「発達障害当事者会フォーラム2024」に参加して、初めて多くの当事者と話す機会を得た。
参加者は皆、若く、どうみても僕は最年長だ。
関西で当事者グループを主宰している男性に、発達障害診断を伝えたら友人が離れていったと告げると「あぁ、それ発達障害あるあるですね」と言われた。
彼曰く、多くの当事者が似たような経験をしている。「それ、かえってよかったんですよ。今あなたの周りに残っている人が本当の友だちだと分かったでしょ」
彼の言葉を聞いてハッとした。この間、すべてを失った気になっていたが、そうではなかった。
僕の周りには手を差し伸べてくれる友だちも確実に存在したのだ。